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アイスランド「女性の休日」50周年 ジェンダー平等先進国に学ぶ「女性の連帯」の力

宮本有紀・編集部|2025年12月24日5:43PM

 世界経済フォーラムが経済、教育、健康、政治の分野ごとに男女格差を算出して毎年発表するジェンダーギャップ指数で、2009年から16年連続、世界で最も格差の少ない国と評価されているアイスランド。1980年、選挙で選ばれた世界初の女性大統領が誕生し、2009年には同国初の女性首相が就任。現在は大統領と首相、連立政権を担う3党の党首すべてが女性で、国教会や警察のトップ、七つある大学の学長も全員女性だ。

学生たちと語り合うラグナル・ソルバルダルソン氏(右端)、ヨン・グナール氏(右から2人目)。イベント主催は東京大学情報学環 林香里研究室・藤田結子研究室、kinologue。(撮影/宮本有紀)

 もちろん最初から男女格差が少ない国だったわけではない。職場では女性は男性の補助的職種に配置され、賃金も低く、家事や育児などケア労働は女性のものとされていた時代もあった。社会が大きく変化するきっかけとなったのが、1975年10月24日に行なわれたストライキ「女性の休日」だ。同日、アイスランド女性の90%が職場や家庭での仕事を放棄し、女性がいなければ社会はまわらないことを証明。父親たちは育児や家事の大変さを実感したという。この翌年の1976年にジェンダー平等法が制定され、同国の女性の社会的地位は向上していく。

 75年のストライキから50年後の今年、女性たちの連帯を振り返るドキュメンタリー映画『女性の休日』が10月25日から全国で順次上映されている。10月23日には「女性の休日」50周年前夜イベントが東京大学で開催され、映画試写会の後、同大の学生がアイスランドの国会議員らと対話した。

 唐澤和さんが「日本では家庭のことは女性が役割を担うべきという風潮がいまだにある。このような性別役割分担意識を変えるためには、どのようなアプローチが役立つか」と質問すると、来日した連合与党の国会議員、ヨン・グナール氏は「政策としては父親母親どちらでも育休を取れる制度や保育園の充実などの制度・法律を整えることが重要だが、社会の文化や人々の意識を変えていくことも大事だ」と回答。「私は1967年生まれで、男は強くあれと言われて育った世代だが、女性たちの運動で人々の意識も変わっていった。今、アイスランドの男性は自分も100%子育てに参加すべきだと考えている。私は今のアイスランドの方が好きだ」と述べた。

日本で「休日」できる?

 映画に感動したという山本恭輔さんは「『女性の休日』を日本でやろうとしたら、今の政治・社会状況を考えると、一部の女性たちが真っ先に反対することが想像できる。日本では歴史的に自ら人権を勝ち得たという感覚を持つ人が少なく、自分の人権が守られていないと感じている人、他者の人権に思いが及ばない人が多いように思う」と発言。「人権を守ることより他人に迷惑をかけないことが優先されると信じている人々に対し、あなた方ならどのようなアプローチをするか」と問うた。

グナール氏は「映画にも出てくる通り『ストライキ』と呼びたくない人や『女性の休日』と呼ぶことに異論がある人など意見はさまざまだったが、議論を通じて連帯していった。それを若い世代に期待する。政治家ではなく、たくさんアイデアを持つ皆さんこそが切り開いていく道と思う」と応じた。

 駐日アイスランド大使館参事官のラグナル・ソルバルダルソン氏も「女性たちの集まりは規模も手法も考えもさまざまだったが、対話を通して団結していった」と対話の重要性を強調。そして「アイスランドの大きな変化にも1世代を要したわけで、時間がかかる。私たちからすると、ジェンダー平等の問題に関心を持つ若い方々がここにいてくださること自体が希望と感じる」と話した。

(『週刊金曜日』2025年11月14日号)

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