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「生活保護費」減額裁判、全面解決求め決起集会 国に謝罪と被害回復を要求

竪場勝司・ライター|2025年12月24日5:09PM

 国による大幅な生活保護基準の引き下げをめぐり全国で進行中の「いのちのとりで裁判」は、6月に最高裁で引き下げを違法とする判決が出て確定した(※)。だが厚生労働省はいまだ被害者に謝罪せず、被害回復の目途さえ示していない。そうした状況を打開し、国に謝罪と全面解決を求める「大決起集会」が10月28日に東京都内で開かれ、オンラインを含め全国から約1400人が参加した。

10月28日、東京・虎ノ門での「大決起集会」の壇上で訴える裁判の原告たち。(撮影/竪場勝司)

 生活保護費について国は2013年から15年にかけて過去最大の基準引き下げを行なった。12年に政権に復帰した自民党の意向に基づくこの施策に対し、各地の生活保護受給者らが「引き下げは違法だ」として減額処分取り消しを求めて提訴。「いのちのとりで裁判」と呼ばれるようになった一連の訴訟は29地裁で争われ、原告の総数は計1027人に及んだ。

 下級審で次第に原告勝訴判決が続いた後、最高裁が6月に下した判決では、13~15年の引き下げが物価変動率のみを指標としていたほか、専門家による審議を経ないまま行なわれたなど、判断過程に誤りがあったと指摘。減額処分を取り消した。これを受けて原告側はすぐに国に対して謝罪と、減額で生じた被害の回復を求めたが、厚労省は原告と相談もないまま。8月から有識者を集め、判決への対応を検討する専門委員会を設置して議論を重ねているものの、原告の要求に応じる姿勢を見せていない。

「再引き下げ許すまじ!」

 集会ではまず、開会のあいさつに立った吉田松雄さん(いのちのとりで裁判全国アクション共同代表)が「厚労省は最高裁の判決を自分たちが覆せるかのような傲慢な態度で、保護の再引き下げを狙っている。断じて許されない」と厳しく批判した。

 続く基調報告では、小久保哲郎弁護士(同アクション事務局長)が裁判の経過を説明。厚労省専門委員会における議論の内容を紹介したうえで、最高裁判決について「司法は生きていたということを示してくれた」と、その歴史的な意義を強調。現状はこれを政府や行政が今後どのように受け止めていくのかが問われる段階にあり、「私たちには原告、弁護団、支援者による強力な運動、全国の連帯がある。今こそこの力を発揮して、(生活保護者への)バッシングで分断と対立を煽るような社会から誰もが安心して人間らしい生活を送れる社会へと変えていこう」と呼びかけた。

 裁判原告による報告では大阪・愛知・北海道・富山の4地区より代表者が登壇。問題の当事者たちと向き合おうとしない国、厚労省の態度に怒りの声があがった。

 北海道訴訟の鳴海真樹子さんは13年の保護費の大幅減額後の生活状況について、「お湯をためると費用がかさむので、冬でもお風呂はシャワーだけ。食事は1日2食に減らしました」と説明。「10年以上もつらく苦しい闘いをして、やっと私たちの声が届いたというのに、こんなことが許されるのでしょうか」と訴えた。

 集会では最後に、基準の違法な引き下げから12年を経て、原告の2割以上の人がすでに亡くなっていることを示したうえで、すべての生活保護利用者に対する謝罪と一刻も早い被害補償などを要求。「私たちはあきらめません。人間の尊厳を守り抜くためたたかいます」とする集会アピールを採択した。

※最高裁判決については『週刊金曜日』7月11日号、これまでの裁判経過については5月2日・9日合併号ほかで詳報。

(『週刊金曜日』2025年11月7日号)

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