法令上の同性パートナーの地位 33法令で事実婚と同等に社会保障は対象外のまま
岩崎眞美子・ライター|2025年11月24日3:27PM
三原じゅん子内閣府特命担当大臣は9月30日、法令上の同性パートナーの扱いについて、新たに九つの法令で事実上の婚姻関係とする対象に含まれうると発表した。

同性のパートナーも犯罪被害者の遺族に支払われる国の給付金の対象になりうるとした昨年3月26日の最高裁判決以降、各省庁は、同種の規定を含む法令が同性パートナーにも適用されるかどうかを検討。今年1月の政府発表では、犯罪被害者支援法や公営住宅法、DV防止法など24の法令について「事実婚」に同性パートナーも含まれうると判断した。
以降、LGBT法連合会ら当事者団体は、さらに検討するべき法令について政府に働きかけを行なってきた。今回は災害で亡くなった人の遺族に最大500万円が出る「災害弔慰金の支給等に関する法律」などが新たに対象とされた。これで33の法令で、同性パートナーが異性間の事実婚と同等だと認められたことになる。
一方で、国民年金法や厚生年金保険法、健康保険法など社会保障関係法令をはじめ、雇用保険法、児童扶養手当法、育児・介護休業法など約120の法令については対象とされなかった。
この発表を受け、当事者団体のLGBT法連合会とマリッジ・フォー・オール・ジャパン(マリフォー)が10月1日、厚生労働記者会で記者会見を行なった。
LGBT法連合会事務局長の神谷悠一さんは、33の法令で同性パートナーを事実婚関係と同等に位置づけたことについては「平等な権利保障に向けた前進であり、性的マイノリティ当事者を勇気づけるものとして一歩前進した」と評価。だが社会保障制度関係の法令が対象外になったことについては「承服しがたい」と述べた。
政府は、この点について、異性間の事実婚については民法上の協力扶助・同居義務の規定が適用されるという判例が確立しているが、同性カップルでは確立していない、という見解を示す。だが、民法上婚姻と認められていない間柄についても事実婚として社会保障制度の一部を認めてきた例はある。方針次第で改善できるはずだ。
「実態に即した続き柄」
また、今回新たに対象となった九つの法令は、私立学校法や医療法、社会福祉法施行令など、むしろパートナーに利益を与えることを規制する内容のものが多い。基本的人権に直結する社会保障制度関係法令は対象外にしておきながら、規制や責任については異性の事実婚と同等に課すあり方は、同性カップルに対する差別が継続していることの証左でもある。
たとえば年収1000万円のAと100万円のBが同世帯にした場合、異性カップルならBはAの扶養に入れるが、同性カップルは入れない。さらに、社保・国保では低所得者の減免措置は世帯主の収入によって決められるため、同条件でも同性カップルの場合、保険料が倍増することもありうる。
「世帯主も、扶養相手に対する住宅手当や家族手当が受けられないなど、同世帯にすると不利になるというのは不公正だ」と神谷さんは言う。残された約120の法令、特に社会保障制度について、国は早急に事実婚と同等の対象と認めるべきだろう。
マリフォー代表理事の松中権氏は10月8日が回答期限の国勢調査に言及。これまでの調査では世帯主との続き柄で「配偶者」と「同性」を選ぶと「他の親族」に付け替えされていた。3月の国会質問で総務省統計局が「世帯自らが判断した続き柄で回答してください」と述べたことに触れ「同性のパートナーは実態に即した回答を」と呼びかけた。
(『週刊金曜日』2025年10月17日号)
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