考えるタネがここにある

週刊金曜日オンライン

  • YouTube
  • Twitter
  • Facebook

【タグ】

〈真正面から財源の議論を〉宇都宮 健児

宇都宮健児・『週刊金曜日』編集委員|2025年11月24日1:51PM

宇都宮健児・『週刊金曜日』編集委員。

 参院選では物価高対策が大きな争点の一つとなった。与党の自民党と公明党が打ち出した1人2万~4万円の現金給付策では、3兆円台半ばの財源が必要となる。また、野党各党が打ち出した消費税減税策では、消費税の税率を現在の10%から0%にすると約24・9兆円の財源が失われるし、税率を5%にすると約15・3兆円の財源が失われる。また、食料品にかかる税率だけを0%にする場合は、約5兆円の財源が失われる。財源の手当ては、何か支出を減らすか、増税などで収入を増やすか、国債を発行して借金で賄うしかない。

 日本経済はアベノミクスによる「大胆な金融政策」により、財源を国債発行に依存した積極財政が慢性化し、国債の発行残高は世界トップクラスの約1100兆円に上っている。2025年度予算の国債費は28兆2179億円であり、このうち10兆5230億円が国債の利払い費となっている。日本の大規模な金融緩和政策による国債の大量発行は円安の要因の一つとなっており、円安は現在の物価高騰の要因の一つとなっている。また、財源を国債発行に頼ることは、若い世代にツケを回すことになり、将来の不安を高めることになる。

 参院選の結果、自民、公明両党が衆参両院で少数与党になったことで、消費税減税などを主張する野党の攻勢を予想し、債券市場では財政悪化への警戒が高まっている。債券市場で代表的な指標である10年もの国債の利回りは、9月23日現在1・651%に上昇しており、リーマン・ショック時以来17年ぶりの高水準となっている。

 消費税は、年金や医療など社会保障制度を支える基幹財源である。財源を手当てしない限り、社会保障サービスの削減が避けられない。

 一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)は、昨年の12月9日、2040年を見据えた政策提言「FUTURE DESIGN2040『成長と分配の好循環』~公正・公平で持続可能な社会を目指して~」を発表している。経団連はこの中で、富裕層への課税を強化し、高所得者の所得や資産への課税を増やすことで、10年後に5兆円規模の税収を確保し、現役世代の社会保険料負担を抑えて「分厚い中間層」をつくるべきだと提案している。経団連の提言にあるような議論は現在行なわれている自民党総裁選や近く召集される国会でこそ行なわれるべき議論である。与野党ともに、国民受けしそうなことばかり訴えるのではなく、責任政党として財源について真正面から議論すべきだ。

(『週刊金曜日』2025年10月3日号)

定期購読はこちらをクリック

【タグ】

●この記事をシェアする

  • facebook
  • twitter
  • Hatena
  • google+
  • Line

電子版をアプリで読む

  • Download on the App Store
  • Google Playで手に入れよう

金曜日ちゃんねる

おすすめ書籍

書影

増補版 ひとめでわかる のんではいけない薬大事典

浜 六郎

発売日:2024/05/17

定価:2500円+税

書影

エシカルに暮らすための12条 地球市民として生きる知恵

古沢広祐(ふるさわ・こうゆう)

発売日:2019/07/29

上へ