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宮城・県営住宅廃止で県公表の「需給バランス」数ごまかし? 実は「住宅不足」3万世帯以上

平舘英明・ジャーナリスト|2025年11月24日3:55PM



 宮城県の県営住宅廃止方針に反対する「住みよい県営住宅をつくる県民の会」(県民の会)は10月4日、仙台市で学習講演会と2025年度総会を開催した。

 講演では「県民の会」世話人の遠州尋美さん(元大阪経済大学教授)が登壇。県が県営住宅廃止の根拠とした、公営住宅等の需要と供給の数字にごまかしがあったことを明らかにした。

「県は正確な数字を把握しているはず。県営住宅廃止は許されない」と語る遠州尋美さん。(撮影/平舘英明)

 宮城県は現在、人口減少や住宅の老朽化、住宅ストックの余剰増加などを理由に耐用年限を迎える県営住宅ごとに廃止時期を設定し、10年かけて入居者の移転支援を進めている。県は「公営住宅の供給は、市町村が地域ニーズに基づき主体的に取り組むことを基本」とし、県営住宅の新たな建設と建て替えは行なわない方針だ。すでに廃止対象となった団地では移転先の意向確認や個別面談を実施しているが、入居者の反発は強い(本誌24年3月22日号参照)。

 県は廃止理由として、公営住宅の需要より、民間賃貸住宅を含めた供給が多いと示す「公営住宅等の需給バランス」を根拠に挙げてきた。たとえば25年の需要数約8万5000世帯に対し、県営と市町村営住宅、民間賃貸住宅の供給数は約10万世帯と公表している。

 ところが「県民の会」が県と同じ「住宅確保要配慮者世帯数推計支援プログラム(以下・プログラム)」(国土交通省国土技術政策総合研究所)を使用して推計したところ、県が示す需要数は公営住宅入居資格世帯全体(14万世帯以上)の約6割に過ぎないことがわかった。県が示した需要数約8万5000世帯は入居資格を「著しい困窮年収水準未満の世帯」に限定した数字であり、需要数を少なく見せかけていた疑いが浮上した。

生保で民間住宅に移れ?

「著しい困窮年収水準未満の世帯」とは、民間市場において、自力では適切な家賃負担で最低居住面積水準を達成することが著しく困難な年収以下の世帯のことだ。

 だが「県民の会」の推計では、「著しい困窮年収水準未満の世帯」に、最低居住面積水準や高家賃負担率などを加味した公営住宅入居資格世帯数は14万世帯以上となった。需要が供給を4万世帯も上回ることになり、逆に住宅は不足していることがわかった。

 さらに「県民の会」ではプログラムによる独自の集計を行ない、困窮年収水準ライン上で住宅が狭い過密居住世帯が約1万8000世帯、高家賃負担世帯が約1万3000世帯あり、3万世帯以上が住宅に苦しんでいる実態が浮き彫りになった。

 一方、県が示す供給数約10万世帯の内訳は県営住宅が約9000世帯、市町村営住宅が約3万6000世帯、民間賃貸住宅が約5万5000世帯だ。県は生活保護の住宅扶助額(例・仙台市単身世帯3万7000円)以下の民間賃貸住宅を供給数に含めているが、公営住宅の家賃はおよそその半額(政令月収が10万4000円以下の場合)だ。

 遠州さんは「県は『県営住宅にしがみつかずに生活保護をもらって民間賃貸住宅に移れ』と言っているのも同じだ」と批判した。

「県民の会」はこうした事実を県民に知らせ、県に対し住まいに苦しむ人への住宅保障を求める運動をしていく方針だ。

※宮城県知事選挙は10月9日告示(26日投開票)され、県営住宅廃止を進めてきた現職の村井嘉浩氏が6選を果たした。

(『週刊金曜日』2025年10月17日号を一部修正)

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