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「大阪万博工事費未払いの被害者を救え」 市民団体が府庁前で抗議

平野次郎・フリーライター|2025年11月24日2:16PM


 大阪・関西万博は10月13日で閉幕した。日本国際博覧会協会(以下、万博協会)は入場券の売上高が運営費の黒字ラインを超えたとして「万博成功」をアピール。一方、パビリオン工事費の下請け業者への未払い問題は深刻化しているが、大阪府などは責任を認めることなく放置している。こうした中で市民団体が9月18日、大阪府庁前で「万博は失敗だ!」と抗議し、工事費未払い被害者への救済を訴えた。

「万博成功なんて言わせない!」として工事費未払い被害者救済を訴える市民たち。(撮影/平野次郎)

 大阪・関西万博の来場者数は出足低調だったが、次第に大屋根リングなどの人気が高まって増加に転じた。万博協会は8月中旬、入場券の販売枚数が1800万枚を超えたことで運営費1160億円のうち入場券収入で賄う969億円の採算ラインに達したとして、運営費の黒字化が見込まれると発表。大阪府・市も万博のレガシーとして大屋根リングの一部を保存する方針を発表するなど「万博成功」をアピールする。

11館の業者から相談

 一方、パビリオンの工事費未払い問題は、5月末にアンゴラ館の下請け会社が支払いが滞っていると訴えて「万博工事未払い問題被害者の会」が発足。6月5日、マルタ館の工事を請け負った建設会社が、約1億2000万円の未払いがあるとして元請けのフランス資本のイベント会社に支払いを求め、さらに8月22日には同じイベント会社からセルビア、ドイツ両館の工事を請け負った建設会社が約3億2800万円の支払いを求め、いずれも東京地裁に提訴。このほか中国、米国、ポーランド各館などでも未払いの訴えが相次いだ。万博協会は9月1日、計11館の工事関係者から相談が寄せられていることを明らかにした。

「被害者の会」は8月6日、吉村洋文・大阪府知事などに救済措置を求める署名約4万8000筆を提出し、未払い工事代金の立て替え払い、返済期間が長期の無利子融資などを要望。府側は「立て替え払いに税金を充てることは難しい」「当事者同士で解決するのが基本だ」との返答を繰り返した。

 8月23日に大阪市内で開かれた「万博工事未払い追及全国集会」では、「被害者の会」の当事者2人が次のように窮状を訴えた。

「国家プロジェクトでこれほど未払いの問題が起きたことはあるのか。『子どもが生まれたのにどうしてくれるのか』『マンションから追い出されるから助けてほしい』などという仲間の声に胃が痛くなる」

「いつ倒産するかわからない状況が長期化し、売れる物はすべて売り、最後に残っているのは自分の命しかない。良からぬことを日々考えるが、絶対に負けてはいけないという気持ちでいる」

 こうした問題が発生したことについて、桜田照雄・阪南大学教授は「万博協会が下請け業者への適切なアドバイスも行なわずにイベント会社に工事を受注させ、大手ゼネコンが撤退する中で吉村知事が『国の事業だから何とかしてほしい』と中小業者に働きかけた結果であり、責任の所在を明らかにしなければならない」と批判する。

「被害者の会」を支援する「夢洲カジノを止める大阪府民の会」は大阪府議会開会日の9月18日、府庁前に約60人の市民が集まって「万博は失敗だ!」の行動を展開。参加者らはリレースピーチで、工事費未払い被害者の窮状と救済を訴えたほか、メタンガス発生やレジオネラ属菌検出などの対応の遅れで人命が軽視されたことを指摘。「万博倒産」や「万博自殺」を未然に防ぐ必要があると訴えた。

(『週刊金曜日』2025年10月3日号)

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