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「はどめ規定」撤廃求めシンポ開催 政治家の介入で日本の性教育は大きく後退

古川晶子・ライター|2025年11月24日1:27PM


「はどめ規定」撤廃を求める緊急シンポジウムが、9月10日に東京都内で開催された。

9月10日のシンポジウム。左から福田和子さん、樋上典子さん、染矢明日香さん、尾木直樹さん。(撮影/古川晶子)

 文部科学省による現行の学習指導要領は、性教育の授業内容に「はどめ規定」と呼ばれる制限をかけている。同要領は約10年に一度、次回は2027年に改訂されるがこれに向けて「はどめ規定」の撤廃を求める署名活動のキックオフイベントとして行なわれたのが今回のシンポジウムである。主催は〝人間と性〟教育研究協議会(性教協)と署名活動実行委員会だ。

「はどめ規定」とは、小学校理科や中学校保健の学習指導要領で「受精に至る過程」「妊娠の経過」を「取り扱わないもの」とする文言を指す。シンポジストの1人で元教員の樋上典子さんは「性は一生向き合っていくもの」との理念のもと、児童・生徒の実態やニーズに応じ「生命誕生」「多様な性」「恋愛とデートDV」等をテーマに包括的性教育の実践を積み重ねており、現場で出会う子どもたちが「はどめ規定」で混乱させられていると語った。小学校の理科ではメダカの受精の仕組みだけを教えるため「人間はお風呂で受精する」と捉えてしまう子どもがいるという。中学校では性交・避妊・中絶について教えないのに「コンドームが性感染症防止に有効」という授業がある。これでは実際に役立つ知識にはならず、性のリスクから身を守ることにつながらない。

 もう一つの問題は、教職員が性教育に対して萎縮する風潮が生まれていることだ。そもそも学習指導要領とは各学校でカリキュラムを組む際の基準で、他の科目ではそれより高レベルの内容を取り入れても問題にならないが、性教育では見咎められる。それは政治家の介入によるものだ。03年には都立七生養護学校の性教育の授業をめぐり都議会議員による苛烈なバッシングが行なわれた。政治家の学校教育への介入は教育基本法に抵触するもので、最終的には裁判で学校側の正当性が認められた。

後手に回る教育現場

 しかしこうした政治家の介入は以後も相次ぎ、日本の性教育は大きく後退。現在は多くの学校が性教育を外部講師に頼る。NPO法人ピルコンの染矢明日香理事長は学校での講演の際「セックス」を「性的接触」に変えるよう求められることがたびたびあると言う。学校側の萎縮がベースになり、せっかく招いた外部講師にも同調を求めるという、本末転倒の現象だ。

「はどめ規定」を支えるのは、性について「わざわざ教える必要はない」「結婚すれば自然にわかる」とする「寝た子を起こすな」論だ。だが今はインターネット上に誤ったものや暴力的なものを含む性情報が氾濫し、子どもたちはそれらに簡単にアクセスできる。教育評論家の尾木直樹さんは「SNS時代に『寝た子』はいない」という。

 他方で学校内での性被害は続発し、デジタル性暴力など複雑化、深刻化している。対策として防犯カメラ導入などが言われるが、教職員らも性教育を受けていない現状では、どうしても後手に回る。「#なんでないのプロジェクト」の福田和子さんは「性教育にアクセスできる権利、すなわち人権が侵害されていると感じる。その根源に『はどめ規定』がある」と撤廃の必要性を訴えた。

 8月25日に開始されたオンライン署名(※)はすでに約2万5000筆を集めた。今後、10万筆を目標に活動を続け、11月末には文部科学大臣に提出する予定だ。

(『週刊金曜日』2025年9月26日号)

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