函館市の大間原発建設差止等請求訴訟 原告、水蒸気爆発の対策がまったくないと批判
脱原発弁護団全国連絡会|2025年11月4日6:04PM
函館市が原告として大間原発の建設の差し止め等を求める裁判の第34回口頭弁論期日が9月2日、東京地裁(篠田賢治裁判長)で開かれた。この裁判は初めて自治体が原告として、電源開発に対して原発の建設差し止めと、国に対して設置許可処分の無効確認及び設置変更許可処分の差し止めを求めている。
原告は、過酷事故(シビアアクシデント、設計基準を超える事故)対策として、水蒸気爆発に対する規制の不備を主張し、法廷では青木秀樹弁護士がプレゼンした。

東京電力福島第一原発事故前は過酷事故対策は規制対象ではなく、各電力会社の自主的整備に委ねられていた。実際に過酷事故が発生したことを受け、過酷事故対策は規制対象とすべきと原子力委員会が決定。「政府事故調査・検証委員会報告」も、確率の低い事象であっても起こりうることを前提にすべきと指摘。新規制基準では、新たな規制の対象とするべきとされた。
水蒸気爆発が起きると、格納容器が破損し、放射性物質が放出される。東電福島第一原発事故では、起きないとされていた水素爆発が起きた。水蒸気爆発は、細粒化した核燃料を取り込んでおり、放射能被害は水素爆発よりも大きくなることがありうる。過酷事故対策として水蒸気爆発の対策をすることは国際基準であるIAEA基準の要求事項でもある。過酷事故対策として、水蒸気爆発の発生を防止する対策のほか、水蒸気が発生しても放射性物質が外部に放出されない対策が求められる。
核燃料が圧力容器を貫通して格納容器の水と接触した場合には、水蒸気爆発の発生可能性を除外することはできず、格納容器破損の原因として、水素爆発や水蒸気爆発を考慮するのは科学者の常識である。水蒸気爆発はありふれた現象であり、自然界では火山の噴火などでよくみられ、産業界でも工場等での爆発事故などの原因として、特別な事象ではない。チェルノブイリ原発事故も出力暴走の結果としての水蒸気爆発に起因している。
しかしながら、新規制基準において水蒸気爆発の対策については、「めったに起きない」という理由で対策は講じなくてよいことになってしまった。このことは、福島第一原発事故のような事故を二度と起こさないために、発生確率は低くても、影響が大きい事象は扱うとした新規制基準策定の趣旨にも反するし、他の過酷事故対策と比較しても不十分である。水蒸気爆発対策をしなくてよいとの態度は、原発の稼働に都合の悪い事象は考慮しないという「推進の論理」によって、対策を恣意的に考慮対象外にしたのではとも解される。
大間原発には水蒸気爆発の対策は存在しない。それどころか、圧力容器が破損すると、下部に3メートルの水が溶融燃料を待ち受ける、水蒸気爆発の発生可能性が高い設計となっている。これは、燃料がコンクリ―トと接触して反応することを防止するための基準に従っているのだが、かえって水蒸気爆発を誘発しやすい設計となってしまっている。
青木弁護士は、新規制基準における水蒸気爆発の基準は不合理であり、その基準に従って設計された大間原発は水蒸気対策を講じておらず、設置変更許可処分をしてはならないと断じた。実機では水蒸気爆発はめったに起きないという根拠にしている水蒸気爆発に関する実験の恣意的な解釈について原告は、被告国から主張があれば十分な反論を用意している。
被告国は、震源を特定せず策定する地震動に関する原告の主張に対する反論を提出し、原告は次回までに反論書面を提出すると述べた。また、国は今回の原告の主張に対する反論書面を検討すると述べた。なお、被告電源開発の提出書面はなかった。
続いて進行協議期日(非公開)では、提訴から10年経ち、裁判所が主導した双方の主張の争点整理表の更新等について細かくやり取りした。
次回期日は12月24日午前10時半からを予定している。
(『週刊金曜日』2025年9月26日号)
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