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超党派国会議員らが厚労省に長生炭鉱調査費用3500万円の新年度予算措置など要求

本田雅和・記|2025年10月16日3:26PM



 山口県宇部市の海底炭鉱跡で、戦時中の1942年2月の水没事故被害者と見られる頭蓋骨などが見つかったことを受け、福島瑞穂・参議院議員(社民党)ら超党派国会議員有志代表12人が9月4日、厚生労働省の岡本利久・大臣官房審議官らと面会。①石破茂首相や福岡資麿・厚労大臣ら幹部による現地視察②速やかで安全な遺骨収集のための調査費用など3500万円の予算措置など国の積極的関与、を求めた。

厚生労働省の岡本利久・大臣官房審議官(左から2人目)に要請文を手渡す福島瑞穂・社民党党首(中央)ら。9月4日、参議院議員会館で。(撮影/Pae So)

 同問題では、朝鮮人労働者が7割を占める計183人が違法な掘削による海底坑道(海底面が坑道の天井)の崩壊から生き埋めとなったが、そのまま放置され、坑口はその後、閉ざされたままとなった。市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」(井上洋子・共同代表)が30年以上の調査を基に、募金によって5000万円以上を集め、昨秋から遺骨の潜水発掘作業に着手。水中探検家、伊左治佳孝ダイバーや韓国人ダイバーらの尽力で、8月25~26日には、頭蓋骨のほか左大腿骨、左上腕骨、左橈骨などが発見されている。

 福島氏がこの状況を受け、同じ社民党所属のラサール石井、新垣邦男の両氏とともに野党各党に呼び掛け、平岡秀夫、杉尾秀哉、有田芳生、石垣のりこ、篠田奈保子(以上、立憲民主党)、小池晃、山添拓(以上、共産党)、大石あきこ、上村英明(以上、れいわ新選組)の各氏ら衆参両院議員の有志が連名で署名した。

 当初は福岡厚労相との面会交渉を求めたが、厚労省側が事務方ナンバー2の岡本審議官を指名した。

人骨確認で局面激変

 同日の申し入れでは小池氏らが「政府は今まで遺骨の位置や深度がわからない」などと調査から逃げてきたが、人骨確認で「明らかに大きく局面が変わった」と指摘。厚労省はこれまでに「安全性調査のための専門家への聴取を5機関から11回実施した」というが、「具体的内容も秘匿したままで疑わしい」とし、「実際に安全性に配慮しながら慎重に遺骨を発掘した伊左治ダイバーらから、改めて事情を聴くべきだ」とした。

 石井氏も「今回、遺骨が見つかった場所は奥の水没事故現場ではなく、出口に向けて逃げる途中、あともう少しで助かるという場所で累々と横たわっておられることがわかった。これからはDNA鑑定をしなければならない。資金力も含め、民間の力には限界がある」と主張。「より安全性を高めるために国の参画を」と訴えた。

 韓国政府は、韓国側遺族からの提供で73人分のDNA情報を確保しているが、日本側では消極的姿勢からこの照合のための手続きや調査主体が決まっていない。

 岡本審議官は「坑道の崩落の可能性など、安全性が確保されたとは言えない」と潜水調査への否定的姿勢は変えなかったが、潜水病防止のための減圧装置が手作りされていることさえ知らなかった。「深海潜水について専門知を持つ伊左治さんらへの改めての事情聴取」などのための関係者検討会を早急に開くことには同意した。

 石井氏らは「これまでに民間が使った金を補填せよと言っているのではない。今後は潜水調査の安全性を高めるためには、どうしたらよいか。そのためにも国に参画してほしいということだ」と強調。

 石破首相も「民間がやることだから自己責任、などとは言わない」と現地視察も否定していなかった。

(『週刊金曜日』2025年9月12日号)

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