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〈報道を市民が守る〉田中優子

田中優子・『週刊金曜日』編集委員|2025年8月25日8:00PM

田中優子・『週刊金曜日』編集委員。

 6月27日にテレビ朝日ホールディングスの株主総会があった。「テレビ輝け!市民ネットワーク」は今年も株主提案をしたのだが、昨年同様、定款への追加提案はすべて拒否された。

 その過程で認識したことがある。一つは、株主総会の主役は株主だ、という当たり前のことだ。私の知っている株主総会は役員たちと株主は同じ高さに座っていたが、テレビ朝日の総会では高い舞台の上に会長、社長、役員たちが座り、株主はそこを見上げる格好になる。質問を重ねると「一人一問に」と、まるで記者会見のようだ。

 第4号議案に「取締役等の女性割合増加により会社の改善を図る定款の追加」を提案した。拒否された。理由は、社内ではすでにガバナンス・コードに従って実施しているから、という。しかし定款とは社内目標ではなく、外の社会と株主への約束なのだ。社内で目標を立てて努力しているのであれば、それを定款に記載することはむしろ社会的評価に繋がり、より強い達成動機となる。

 もう一つ「定款に人数を固定的に規定すると、定款違反の状況が生じてしまうリスクがある」という理由も挙げた。不可解だ。たとえば法律で議員のクオータ制度を決めたとする。法律違反にならないよう、無理をしてでも数値を達成するだろう。そもそもより良い社会を目指して「無理をする」ための制度だからだ。 

 定款も、より良い組織にするために無理をするための約束なのである。報道機関は公器だ。理想に向かって工夫を重ねる努力は当然であろう。

 第6号議案には、「政権に忖度しない公正な報道を目指すことを宣言する」という定款の追加を求めた。当然のことだろう。しかし、過去に「公権力からの圧力、介入」は一切ないという理由で、この定款は拒否された。定款はこれからのためにある。株主提案もこれからのためにある。

 テレビ朝日はどうも、株主の声を単なる批判と受け止めているようだが、それは違う。市民はまともな公器を求めている。それだけなのだ。

 とりわけ今後、どこが政権を担い誰が首相になるか不透明である。「電波を止める」と言った人が首相になる可能性や、国民の分断を政策とする政党と手を結ぶ可能性は否定できない。そういう力からマスメディアを守るのが市民だ。

「政治家からの問い合わせがあった場合はすべて公開する」という定款案が出ている。来年はそれを提案しようと思う。

(『週刊金曜日』2025年8月22日号)

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