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東京都建設局が新宿で野宿者約30人を追い出し 「人権よりも道路」発言も
吉田亜矢子・ねる会議|2025年8月7日6:12PM
東京・新宿で6月、東京都建設局第三建設事務所(以下、三建)が道路工事を理由に約30人の野宿者を立ち退かせた。渋谷や新宿の野宿者が中心となり活動するグループ「ねる会議」は当事者とともに三建に対して抗議を行なっている。現地には立ち退きに抵抗し生活を継続している当事者が残っており、緊迫した状態が続く。

三建が立ち退きを通告したのは6月4日。道路の打ち替え工事のため、6月17日までに荷物を撤去せよとの警告書をそこに住む野宿者に配布し、工事は来年2月まで行なうと告げた。「ねる会議」のメンバーが現場を訪れると、野宿者らは口々に「急に出ていけと言われてどうしたらいいのか……」と不安な思いを語った。ストレスから体調を悪化させた人もいた。
工事を所管する三建・新宿工区によると工事は一斉ではなく、工程ごとに範囲を区切って行なうという。作業帯を避けて荷物や寝床を少しずつ移動させれば工事は可能なはずだ。しかし野宿者排除の前面に立つ三建・管理課は立ち退きの方針を一切変えなかった。
撤去期限までに多くの野宿者が意に反して寝床を畳み、都道を去った。背景には長らく続いてきた三建の「力による支配」がある。これまでも三建は野宿者に威圧的な態度で接し、法的根拠もなく荷物を撤去・廃棄することを繰り返してきた。野宿者たちの間には、三建には従わざるを得ないという諦めが広がっていたのだ。これについて三建の島川光司管理課長は野宿者らが「自主的に協力した」「ご理解いただいた」と、事実を著しく捻じ曲げた認識を語った。
野宿者たちは立ち退いたとしても消えてなくなるわけではない。今も別の場所でより困難な生活を余儀なくされている。雨露をしのげずにいる人、荷物の多くを手放し身一つで過ごす人、移動先で別の自治体から警告書を貼られた人もいる。三建による立ち退きは、約30人の生活を根底から破壊した。
都は話し合い解決を拒否
6月18日、三建は警察官を伴い現場に現れ、作業員らに指示して都道に残る荷物を次々と廃棄車両に積み込んだ。抗議に対して、島川課長は「人権よりも道路に支障がないことが大事だ」と発言。人権意識の欠如を露呈した。一部の荷物に6月24日を期限とした新たな警告書を貼付、25日にも同様に荷物を撤去した。何もなくなった都道にはバリケードとカラーコーンが設置された。
抵抗は続いている。野宿者の一人は「こんなやり方はおかしい」と都道での生活を継続。その人の荷物は本人の身体を張った抗議により18日は撤去されなかったが、三建は25日にも荷物をどかせと高圧的に迫り、7月2日を期限とする警告書を手渡した。だが、その場所で工事が始まるのは早くても9月だ。本人ははっきり「工事には協力する」「工事が始まる前に移動する」と言っており、平和的に調整することは可能なのだ。
警告書の期限明けとなった7月3日、三建は「ねる会議」の問い合わせに対し「『ねる会議』とは平行線なので今後話はしない」と言いきり、現場に現れなかった。建設局道路管理部監察指導課も、「この件は三建の事業なので『ねる会議』とは会わない」と面会を拒否した。東京都は話し合いによる解決の回路を絶った。当事者は今も強い不安と緊張の中にいる。
(『週刊金曜日』2025年7月11日号)
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