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「生活保護費」減額めぐる裁判で最高裁が統一判断示す 「引き下げは違法」

三宅勝久・ジャーナリス|2025年8月7日5:55PM

 第2次安倍政権下で強行された生活保護基準の大幅引き下げの違法性を問う集団訴訟、通称「いのちのとりで裁判」の上告審判決が6月27日にあり、最高裁第三小法廷(宇賀克也裁判長)は引き下げ処分を違法とする判断を下した。1000人を超す原告が各地の地裁に裁判を提起、10年以上に及んだ闘いは辛くも司法が行政の暴走に歯止めをかける形で決着した。

最高裁判決を支援者らに報告する弁護団・原告団。6月27日、最高裁判所前で。(撮影/三宅勝久)

 この日、東京の最高裁前の路上には26席の一般傍聴席に対し300人以上の傍聴希望者が抽選に並んだ。午後3時20分、正面玄関から原告団と弁護団が笑顔で出てくると支援者らから「やった」「おめでとう」と歓声があがった。

「司法が生きているかどうか問われる裁判だった。司法が役割を果たしてくれた。みなさんとともに勝利を喜びたい」

 弁護団を代表して、小久保哲郎弁護士はそう述べ、拍手を浴びた。

 今回の判決は大阪・名古屋の2件の裁判の上告審のものだ。大阪では大阪地裁で原告が勝訴したが、控訴審で逆転敗訴。名古屋では名古屋地裁の原告敗訴に対し、高裁は逆転勝訴となり、国家賠償法上の損害賠償も認められた。(※)

 最高裁は、厚生労働省が「デフレ調整」と称して価格下落の激しい電化製品などを極端に重視し、生活保護受給世帯の物価下落率を4・78%と異常に高く算出したやり方について、

▼物価変動率のみを直接の指標として用いたことは従来なかった。▼専門的知見との整合性を欠く。

▼基準生活費を一律4・78%も減ずるものであり、受給者の生活に大きな影響を及ぼすものだった。

 としたうえで「判断過程及び手続に過誤、欠落があった」「本件改定は、物価変動率のみを直接の指標としてデフレ調整をすることとした点において、厚労大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があり、生活保護法3条、8条2項に違反」と判断した。

国の責任追及はこれから

 一方で国賠については「職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然とデフレ調整に係る判断をしたと認め得る事情があったとまでは認められない」と判断、「2分の1処理」の違法性も認めず、悪質性を否定した。

 2分の1処理とは、引き下げ10%の「ノルマ」が達成できないことから、秘密作戦として実行された疑いのある大胆な数字操作のことだ。

 自民党は2012年の総選挙で生活保護費10%減を公約に掲げ、マスコミを動員した「生活保護バッシング」を追い風に勝利し、与党復帰直後に引き下げに着手した。なりふり構わない大幅な引き下げが、自民党の圧力と厚労省の忖度の結果であることは明らかだ。

 そうした厚労省の大暴走を見抜いたのが宇賀裁判長だ。2分の1処理も国賠法上も、いずれも違法だとする少数意見を述べた。

◆2分の1処理:厚労省は「政策的判断」と述べるのみで説明がない。関連文書は「取り扱い厳重注意」として開示しなかった。疑問があり、違法である。

◆国賠:最低限度の生活の需要を満たすことができない状態を9年以上強いられた。精神的損害を慰謝する必要がある。その額は1万円を下らない。

 福岡資麿厚労大臣は会議を設置して対応を検討するという。しかし謝罪をする気配はない。責任追及は緒についたばかりだ。

(『週刊金曜日』2025年7月11日号)

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