大阪・関西万博パビリオン工事費未払い問題で中小業者への打撃は深刻に
かわすみかずみ・『人民新聞』記者|2025年8月7日4:00PM
5月中旬に発覚した大阪・関西万博のパビリオン工事費未払い問題は急速な広がりを見せた。
5月末に大阪府庁で開かれた記者会見ではアンゴラ館の建設にかかわった下請け業者が未払いを訴え「万博工事未払い問題被害者の会」(以下、被害者の会)(※)を結成。その時点では4社が参加する小さな団体だった。

6月4日には中国館、マルタ館の建設業者も被害を公表。マルタ館では元請けを訴える事態になっていた。その後、ドイツ、セルビア、ルーマニアの3館でも未払いがあったことが判明。いずれも元請け業者はGL events社(以下、GL社)というフランスの企業だ。GL社は工事費の半額を支払い、改悪した契約書を提示。期限に間に合わない場合は支払いを減額するとの文言があった、と被害業者は証言する。工事終了後、建設業者が支払いを迫っても「クライアントが気に入らないので払わない」などと言い拒否しているという。
6月23日には被害者の会が大阪府に救済や行政処分などを求める要望書を提出。府による早急な未払い金の立て替えなどを求めた。しかし府は建設業登録のないままパビリオン工事に参加した業者1社に弁明書を送ったのみ。27日に被害者の会の代表に届いた回答でも府は「民間での解決が基本」として取り合わなかった。
7月1日、在阪記者4人と「夢洲カジノを止める大阪府民の会」(以下、府民の会)の有志2人が大阪南港にあるGL大阪支社を取材したが担当者は「アポを取ってください」と繰り返した。記者は「電話しても誰も出ない。つながる電話番号を」と問うたが、教えようとしない。担当者の上司らしき欧米人女性と事務所の外で話すこととなった。この女性に肩書や名前を尋ねたが「答える必要はない」と拒否した。
同日夜、GL社から在阪記者にメールが届いた。被害者らはそのアドレスに質問を送り「なぜ建設業者に工事費を支払わないのか」と尋ねた。回答にはSNSによる同社への誹謗中傷がひどく不快であるとの内容が書かれていた。
さらに新たな被害発覚も
7月9日、府庁で府民の会と被害者有志が共同で会見した。その際『産経新聞』記者は「カジノ問題とパビリオン工事費未払い問題は別だと思うが、共同で会見する意味は何か」と質問した。府民の会の事務局長・山川よしやす氏は「これは考え方の違いや狭い価値観でとらえる問題ではないと思っています。困っている人がいるなら助けるべきです」と答えた。
会見終了後、被害者の会は大阪市内の京阪電車・天満橋駅前で街頭署名とカンパ要請を行なった。被害当事者が自らマイクを握り、街行く人々に窮状を語った。高校生が署名してくれたと参加者は喜んでいた。1時間ほどの街頭での呼びかけで、2万7230円のカンパと25筆の署名が集まった。
7月6日から被害者の会が始めたネット署名は4日間で5000筆を超えた。7月16日には被害者が東京へ出向き、経済産業省や財務省などと交渉する予定だ。
被害者の会が把握するだけでも約10のパビリオンで未払いが発生している。7月3日にはアメリカ館でも未払いがあったと報道された。今後も未払い被害に遭った業者が増えるという声もある。
国、万博協会、大阪府・市は、今後どう対応するのか。被害者にこれ以上の猶予はない。
(『週刊金曜日』2025年7月18日号)







