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地震・豪雨被害からの復興道半ばの能登半島から現状報告
吉永磨美・ジャーナリスト|2025年8月6日6:16PM
2024年元日の発生から1年7カ月、能登半島地震の被災地では倒壊した建物などの解体作業は進んでいるが、本格的な復旧・復興に向けては、まだ道半ばだ。

輪島、珠洲、七尾の石川県内各市に住む真宗大谷派の住職3人が登壇する講演会「被災地から、今、伝えたいこと〜これまでとこれからと〜」が7月8日、富山県富山市の同派富山東別院で開かれ、登壇者らが現状と課題を語った。
登壇者の一人は地震で寺が被災した長覚寺(珠洲市正院町)の住職、濤恵周さん(61歳)だ。
現在仮設住宅で暮らす濤さんは「正院町の地区では2~3軒の建物以外はすべて更地になった。水道も道路の本管は通水しているが、それぞれの宅地部分には通っていない状態だ」と説明する。周辺では、新築したくても立地や人手不足の点から請け負ってくれる建設、水道などの業者がなかなか見つからない状態だという。
濤さんは「被災者が急激に年を取ったように感じる。被災後の一時期の記憶がなかったり、体がおかしくなったりしている」と話した。
会場には、被災後の状況やこれまでのボランティア支援の様子などがパネルで展示された。濤さんは「パネルを見て懐かしく思った。1年前、あの時は力を合わせて頑張っていこう、とやっていた。あの時も(支援に来られた方に)今が一番大変や、苦しいと話したが、どこまで行けばどん底が終わるのか。這い上がっていけるか、なかなかわかりません。今が大変です。心も体も」と思いを吐露した。
講演会では、仮設住宅に暮らす人々にとってボランティアによる炊き出しや訪問などが人々の集まるきっかけになっており、被災者が「(被災地のことを)忘れないでほしい」と願っていることも報告された。地域によってはコミュニティの維持を意識した取り組みを始めていることも話題に上り、長期化する避難生活下の心や体のケアの必要性が浮き彫りになった。
災害関連死約400人
石川県によると被災地では住宅などの公費解体が進み、見込み棟数の8割を超える3万2787棟(7月14日現在)の取り壊しが完了。多くの住宅地が更地となった。
地震で被災し仮設住宅に入居する人々は、建築した「応急型」に6592世帯、1万3508人(同15日現在)。民間の賃貸住宅に無償で住む「みなし仮設」が2750世帯、6049人(同14日現在)だ。昨年9月の豪雨による被害については「応急型」に242世帯、472人(同15日現在)、「みなし仮設」に41世帯、100人(同14日現在)が入居している。
被災者へのケアとしては、国の「被災者見守り支援・相談等支援事業」がある。これは行政や社会福祉協議会などの職員、委託された外部の災害支援団体の生活支援相談員が個別に被災者を訪問し、困り事や身体の状況を聞いて、行政につなぐ仕組みだ。持病がある人には週1回程度、そうではない人には2~3カ月に1回の割合で訪問する。このほかに国の補助を受けた事業が展開され、飲食や入浴ができるコミュニティセンターが整備されつつある。
石川県発表資料によると、能登半島地震による災害関連死は同県395人、富山・新潟の両県も含めて計408人が認定されている(7月23日現在)。生活再建支援は徐々に整ってきているが、災害関連死は後を絶たない。継続したきめ細かい被災者ケアが必要だ。
(『週刊金曜日』2025年8月1日号)
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