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伊方原発運転差止山口訴訟、結審 敷地数百m前に活断層があると住民側主張
中村覚(原告弁護団弁護士|2025年7月21日2:02PM
4月25日、山口地裁岩国支部(小川暁裁判長)で約8年間審理が続いた伊方山口裁判の運転差止訴訟が結審した。3.11後に伊方原発をめぐる裁判は、松山、広島、大分の各地裁で、運転差止めの仮処分、本案訴訟が起こされ山口もこれに続いた。一つの原発に関して、4カ所で同時進行の裁判が起こされるのは異例で、閉鎖的な内海である瀬戸内海で過酷事故が起きた場合の被害の甚大性、広範囲性に対する各地域の住民の強い危惧を反映したものであった。仮処分では、広島高裁の即時抗告審が、二度運転差止めを認める決定を出したが、その後の異議審で取り消され、本案訴訟では現在まで3つの地裁で敗訴が続き、控訴審で係争中となっている。

山口では、他の事件と同様に、地震、火山、司法審査の基準、避難などを主要な争点としている。このうち地震については、沖合8キロにある活断層はあえて争点にせず、原発の敷地数百メートル前を走る中央構造線が活断層であることを争点にしているのが山口の特徴だ。これは伊予灘全体が中央構造線の活動によって形成されたハーフグラーベン(半地溝)であり、その活動は現在も続いているという小松正幸愛媛大学名誉教授らの学説に依拠した主張である。裁判の途中で地震本部が出した中央構造線断層帯長期評価第二版でも、九州側の中央構造線について我々の主張とほぼ同じ見解が示され、その東側に続く伊予灘の中央構造線も活断層であることを考慮する必要があると指摘された。これに対して四国電力は、過去の海上音波探査で、佐田岬半島沿岸に活断層がないことは調査済みであると主張した。しかし原告は四電の海上音波探査は極めて精度が低く、必要なデータも不足しているため、中央構造線の活動性の調査として不十分であることなどを指摘して、後期更新世以降の中央構造線の活動性は否定できないと主張している。
裁判所は、我々が申請した学者証人である巽好幸(火山)、芦田讓(三次元物理探査)、小松正幸(中央構造線と伊予灘ハーフグラーベン)、早坂康隆(敷地岩盤の脆弱性とダメージゾーン)の各氏全員の尋間を実施するなど、少なくとも当事者の主張には真摯に耳を傾けるという姿勢は示してくれていた。この裁判で我々が繰り返し主張したとおり、裁判所の判断基準は、仮に福島第一原発事故前に運転差止の裁判が提起された場合、原発の運転を差し止めることができる審査基準でなければならない。そしてこれは司法審査の基準だけでなく、裁判所の行なうすべての事実認定、すべての法律解釈において、そのような事実認定、法律解釈で福島第一原発事故が防げたのかという3.11後の立法の原点に常に立ち返って、司法の判断の正当性が検証されなければならない。判決は2026年2月26日。司法の存在意義が問われる日である。
(『週刊金曜日』2025年5月30日号)
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