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沖縄「慰霊の日」、戦争体験者ら決意新たに 相次ぐ歴史修正発言に苛立ち滲む

新垣毅・沖縄の新聞人(『琉球新報』)|2025年7月15日5:15PM

 6月23日、戦後80年という節目の沖縄「慰霊の日」は、沖縄戦の実相や教訓をいかに継承するかという大きな課題が改めて浮かび上がる日となった。戦争体験者の多くが世を去り、生の証言を直接聞くことが困難となる中、沖縄戦の実相をゆがめる発言が相次ぐという危機が襲い掛かった形だ。

6月23日、沖縄全戦没者追悼式で平和宣言する沖縄県の玉城デニー知事。(提供/UPI・アフロ)

「軍隊は住民を守らない」――。慰霊祭や平和祈念式典に参加した遺族が語った戦争当時の様子は、その教訓を裏付ける事実に溢れていた。戦後世代からは、体験者の記憶の継承を固く誓う声が相次いだ。

 午前11時、糸満市「ひめゆりの塔」。重々しい雰囲気が漂い、灼熱の太陽が照り付ける。風がほとんど吹かない33度超の猛暑の中、慰霊祭には沖縄戦犠牲者の遺族や関係者ら約250人が参加した。お年寄りも多く、杖をつく人や車椅子の人も。熱中症のリスクを背負いながら、歯を食いしばるかのように一歩一歩、焼香へと地面を踏む姿からは、体が老いようとも逆流を行く強い意志すら感じられた。歴史が捻じ曲げられようとしていることへの抗いにも見えた。

 ひめゆり同窓会の知念淑子会長(96歳)は、西田昌司参議院議員が、ひめゆりの塔の説明書きを「歴史の書き換え」などと発言したことに対し「非常に憤りを感じている」と語った。ひめゆり平和祈念資料館の普天間朝佳館長(65歳)は、西田氏の発言は沖縄戦を証言した体験者や沖縄戦研究者の積み重ねを踏みにじるものだとし「これからも沖縄戦の実相を丁寧に、揺らぐことなく伝え続けていく」と決意を新たにしていた。

 沖縄戦の実相や教訓について、沖縄内外に広く深く伝える絶好の機会だったはずの戦後80年。予想に反し次々に飛び出した歴史修正主義の言説は、沖縄の人々の「伝える意思」を一層強くした。それは沖縄全戦没者追悼式での玉城デニー知事の平和宣言にも表れた。

「沖縄戦の実相と教訓は、戦争体験者の証言と数々の研究の蓄積により実証され、受け継がれている。これこそが私たち沖縄県民の平和を希求する心の原点となっている。実相と教訓を、世代を超えて守り続けていくことは、今を生きる、私たちの使命であり、後世につなげていく沖縄の心である」

言行不一致の石破首相

 今回の「慰霊の日」のもう一つの特徴は、ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の参加だ。田中重光代表委員が報道陣に語った「武力では平和を守れない」という言葉は沖縄の人々に勇気を与えた。

 一方、石破茂首相も追悼式に参加し「沖縄のみなさまには今なお米軍基地の集中による大きな負担を担っていただいている」と発言。だが沖縄が自らそれを担った覚えはない。基地は沖縄の民意に反して押し付けられてきた。

 首相は「沖縄の負担軽減を目に見える形で実現する」とも述べたが、自身は防衛相時代から辺野古新基地建設を進めたほか、現在は自民党総裁として来たる参院選に向けて西田氏を公認した。歴代の首相では13年ぶりにひめゆりの塔や資料館を訪れたが、西田発言には触れず謝罪の言葉もなかった。言行不一致も甚だしい。

 沖縄の人々は、行動や結果が伴わない首相の言葉に飽き飽きしている。時の政権を担う政治家が結果責任を果たせるようになるのはいつの日か、「台湾有事」の戦場にならないか――。不安や恐怖が増すばかりの「慰霊の日」だった。

(『週刊金曜日』2025年7月4日号)

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