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「庶民は増税・自民党は脱税、これはあまりに理不尽だ!」 
裏金問題を告発した市民団体がデモ

薄井崇友・フォトジャーナリスト|2024年3月25日9:02PM

「庶民は増税・自民党は脱税。これはあまりにも、理不尽だ!」

 国会で政治倫理審査会が開かれても一向に解明されない自民党のパーティ券裏金問題をめぐり3月7日、東京・霞が関の財務省前に苛立ちと怒りの声が響いた。いわゆる“5人衆”(萩生田光一、西村康稔、松野博一、高木毅、世耕弘成の各議員)をはじめとする自民党安倍派有力議員ら10人を2月1日に所得税法違反(つまり脱税)の疑いで東京地検へ告発した市民団体(本誌2月9日号既報)が、この裏金に課税せよとする「申入書」を財務省・金融庁へ提出。終了後には記者会見も行なった。

東京・霞が関の路上を行くデモでは途中、警官との揉み合いも。(撮影/薄井崇友)

 申入人は「自民党のウラガネ・脱税を許さない会」(以下、同会)藤田高景代表と代理人弁護士3人。趣旨は次の2点だ。

①今回問題の自民党各議員の裏金は、すべて「雑所得」として計上させ、課税対象とするべきである。②国税庁が今年1月付で作成した政治資金に係る「雑所得」の計算等の概要の文書を撤回し、政党から受けた政策活動費や、個人・後援団体などの政治団体から受けた、政治活動のための物品等による寄付などは、すべて一律に「事業所得」として計上させ、課税対象とするべきである。

 そのうえで「課税対象」とする理由として、昨年12月からの政治資金規正法違反に絡む捜査で安倍派の領袖が立件されなかったことを挙げて「逮捕・起訴などは計3名、それも小物・雑魚の類で事件は終結した」と批判。

 さらに、国民にはインボイス制度で税の捕捉を強化しておきながら「国会議員は報告書を修正すれば一件落着ではないか」と疑問を提示しつつ、萩生田氏が報告書の訂正で収入総額、支出総額、翌年への繰越額などすべてを「不明」と記載したばかりか裏金の2728万円が「机の引き出しにしまっておいた」などとした欺瞞とも言うべき事例のほか、二階俊博氏や橋本聖子氏など8議員のケースを列挙。改善案としては「政治家の収入は事業所得とし、秘書等の人件費や事務所の家賃等は通常の事業所得と同様に必要経費として計上させるべき」だと提案している。

赤木俊夫さんの命日に

 7日13時半、藤田代表ら同会メンバーが「自民党のウラガネ・脱税は許さない」と書かれた横断幕を掲げて財務省前の歩道をデモ行進。その後、金融庁に入り担当者に申入書を提出した。デモでは行進を妨げた警官と揉み合いになる一幕も。提出から戻った藤田代表は「政倫審は嘘だらけだ!」と一喝し、かつての金丸信・自民党副総裁(当時)による佐川急便闇献金事件なども挙げながら「過去には切り込んで捜査をした。今回も調査すべきだ」と訴えた。

 近くの衆議院第二議員会館で同会が開いた会見には藤田代表らのほか古賀茂明(政策アナリスト・元経済産業省官僚)、山田朗(明治大学教授・歴史学者)、雨宮処凜(作家)などの各氏が発言した。

 山田氏は「昭和初期と状況が類似している。金融恐慌に政治が対応できず国民の信を失い民主主義が崩壊し、大陸でも問題が生じて軍部が台頭。五・一五事件へつながった」と警鐘。同会の活動を「政治が腐敗した今、市民の民主主義を活性化する行動は意味がある」と評価した。古賀氏は「今日3月7日は森友問題で自死した赤木俊夫さんの命日。財務省職員はそれを肝に銘じてほしい。パーティ券は企業も個人も禁止するべきだ。今、そういう政治の動きがある。皆で後押ししたい」と述べた。

(『週刊金曜日』2024年3月15日号)

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