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戦時中の「スパイ冤罪事件」を繰り返させてはならない 
宮澤弘幸命日の墓参と集い

福島清・「北大生・宮澤弘幸『スパイ冤罪事件』の真相を広める会」|2024年3月12日5:42PM

 太平洋戦争開戦の1941年12月8日、北海道帝国大学(現・北海道大学)工学部の学生・宮澤弘幸は同大の英語教師ハロルド・レーンとポーリン・レーン夫妻らとともに軍機保護法違反のスパイとされ特高警察に検挙された。裁判で宮澤とハロルドは懲役15年、ポーリンは同12年と断罪され、宮澤は戦後に占領軍の覚書で釈放されたが、47年2月22日に27歳で死去。事実上の獄死だった。

2月23日、宮澤弘幸の眠る供養塔の前で福原恵美さん(右から3人目)、山野井孝有さん(同4人目)ほか参列者。(撮影/福島清)

 2月23日、東京・西新宿の常圓寺で「宮澤弘幸顕彰・追悼78回忌法要・墓参」と「北大・戦後世代をつなぐOB/OGの会」による集いが催された。宮澤の墓は昨年4月、彼の姪・福原恵美さん(広島在住、宮澤の弟・晃の長女)により永代供養塔に移され、以後初めての命日供養・墓参となった。

 集いでは最初に『人間の自由のために~シャッターをきれなかった2年間~あるイタリア人の昭和』と題した、宮澤の兄貴格にあたるフォスコ・マライーニを描いたドキュメンタリーを上映。冒頭挨拶に立った山野井孝有さんは、宮澤の妹・秋間美江子さんと知り合ったのを契機に冤罪事件糾明に関わったことを紹介。東京大空襲、広島、長崎の原爆の残虐を語り、再び軍靴の音が響く時代になっていることに警鐘を鳴らした。福原さんは「広島で結婚してから事件を知った。被爆した夫とともに関心を強くしていきたい」と訴えた。

 続いて「クラーク精神と大戦前夜の北大生」と題し、北大名誉教授の藤田正一さんが講演。『なぜ日本は原発を止められないのか?』(文春新書)著者の青木美希さんも特別報告。青木さん所属の新聞社が青木さんの言論活動を制限している実態をも訴えた。

 言論弾圧と戦争はセットで強行される。青木報告は現在のマスコミ状況の異常さの一端を表していた。戦争反対へ国民世論を強める供養・集会となった。

(『週刊金曜日』2024年3月8日号)

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