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「貧困ジャーナリズム大賞2023」はNHK精神医療報道と後藤秀典氏の『東京電力の変節』に

竪場勝司・ライター|2024年2月9日8:50PM

「貧困ジャーナリズム大賞2023」の授賞式が1月21日に東京・文京区で行なわれた。今回は大賞にNHK取材班(青山浩平、持丸彰子、真野修一の各氏)による「ETV特集」の「ルポ死亡退院~精神医療・闇の実態」と、ジャーナリスト・後藤秀典さんの書籍『東京電力の変節 最高裁・司法エリートとの癒着と原発被災者攻撃』の2件が選ばれた。(※)

『東京電力の変節』著者の後藤秀典さん(左)と宇都宮健児代表理事。(撮影/竪場勝司)

 同賞は一般社団法人反貧困ネットワーク(宇都宮健児代表理事)が、貧困問題についての正確かつ継続的な報道を行なったジャーナリストらを対象に2007年から毎年実施。今回「大賞」に輝いた「ETV特集」は看護職員らによる暴行や身体拘束などが日常化していた滝山病院(東京・八王子市)を取り上げ、生活保護行政もこの病院に頼る実態などを描いた。選評では「取材班は日本の医療と福祉の『もたれあい』の構図をあぶり出した」と評価。真野さんは「できるだけ社会にインパクトを与える形で報道できたらと考えていたので、受賞は非常に励みになる。内部告発をしてくださった方々に感謝したい」と喜びを語った。

『東京電力の変節』について選評は「新聞もテレビも断片的にしか伝えない原発被災者と東電事故後の補償をめぐる『その後』を克明に記録した一冊」とした。後藤さんは「原発事故避難者が、裁判で東電からものすごい個人攻撃を受けていると聞き雑誌に連載した。連載後には元東京高裁の裁判官だった弁護士から連絡をもらい『東電側の弁護士たちは最高裁と非常に強く結びついている』との話が出てきて、それをまとめたのが今回の書籍だ」と説明した。

 大賞のほか「特別賞」に映画監督・土屋トカチさんの映画『ここから 「関西生コン事件」と私たち』など3件が。『東京新聞』記者・池尾伸一さんの連載企画「この国で生まれ育って―『入管法改正』の陰で」など9件も受賞作に選ばれた。

※受賞者一覧は公式サイト
https://hanhinkonnetwork.org/archives/2136を参照。

(『週刊金曜日』2024年2月2日号)

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