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映画『標的』上映会、「中立性損なう」と福岡市が態度一変

佐々木亮・フリーランスライター|2023年7月3日7:00AM

市民の萎縮や忖度につながるのでは

 福岡市では近年、憲法や平和をテーマにした集会の名義後援が承諾されなかった事例が相次ぐ。

『標的』上映会の1週間前、6月17日に開かれた「第40回平和のための福岡女性のつどい」は、前回まであった福岡市と福岡市教育委員会の名義後援が、今回はなかった。

「つどい」は福岡大空襲(1945年6月)を記憶し、平和を祈念しようと、女性7団体でつくる「福岡女性団体交流会」が主催してきた。今回は、岸田文雄政権が進めた安保3文書の閣議決定や防衛財源確保法成立に対して「憲法9条で戦争放棄を誓った日本で、軍事国家づくりは許されない」という強い思いが込められた。

 市教委などによると、市と市教委の名義後援は、申請から2週間後の4月中旬、いったん承諾された。

 その後の4月下旬、ゲストのジャーナリスト・青木理さんの講演の題を、当初の「私たちは戦争を防げるか」から「安倍・菅・岸田政権の正体」にするとの変更届が交流会から出された。市と市教委は「事業内容が変更された」として、名義後援の可否を再検討。交流会の共同代表・末永節子さんは「1カ月ほど経った5月下旬になっても再検討の結論が出ず、準備が迫っていたため、後援をあきらめて申請を取り下げた」と明かす。

 市民団体が夏に開いている「平和のための戦争展ふくおか」は2015年以降、市の名義後援不承諾や承諾取り消しが続いている。

 15年は原発や安保をめぐり、当時の安倍晋三政権の政策を風刺した漫画の展示などを理由に不承諾となった。昨年は展示趣旨の「憲法9条を変えさせてはならない」に対して「市が後援することにより行政の中立性を損なう恐れがある」とされた。

 名義後援の文書は福岡市長名で出される。高島宗一郎市長は九州朝日放送(同市)の元アナウンサー。10年に就任し、安倍元首相と親交が深かったことで知られる。

『標的』監督の西嶋さんはRKB毎日放送(同市)の元ディレクター。地元のこうした事態に「市民の政治・政権批判を行政が制限するのは、民主主義の視点からおかしい。こうしたことが続けば、市民の萎縮や忖度につながるのではないか」と指摘している。

(『週刊金曜日』2023年6月30日号)

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