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映画『標的』上映会、「中立性損なう」と福岡市が態度一変

佐々木亮・フリーランスライター|2023年7月3日7:00AM

上映会で語る(右から)西嶋真司監督、植村隆・本誌発行人、吉村秀二さん。(撮影/佐々木亮)

 ドキュメンタリー映画『標的』(西嶋真司監督)の福岡市での上映会をめぐり、市がいったん承諾した名義後援を「行政の中立性を損なうおそれがある」などとして取り消した。名義後援を受けると、主催者は市民センターなどの公共施設にチラシを置いて告知や広報ができる。上映会は6月24日に予定通り開かれたが「行政の名義後援は本来、市民の自由な活動を保障するためのもの」などと、市の対応に批判の声が上がっている。

『標的』は元「慰安婦」に取材した記事をめぐり、当時『朝日新聞』記者だった植村隆・本誌発行人が、日本の加害の歴史を否定する勢力から「捏造」などと誹謗中傷され、家族まで脅迫された問題に迫っている。

 上映会は福岡市の映画配給会社「九州シネマ・アルチ」が主催した。同社は長年、平和や人権、教育、福祉などをテーマにしたドキュメンタリーや劇映画の自主上映会を開催。大半で行政の名義後援を受けてきた。

 市や同社によると今回の上映会の後援は3月28日に承諾された。ところが6月2日、市に「後援は不適切ではないか」とする匿名の電話があった。これを受けて市は再検討。チラシにある「『安倍政治』との闘いがはじまる」などの言葉をとらえ、「事業の内容が政治的な立場等、特定の主義主張に立脚している」などとして、後援申請の取り下げを同社に求めた。

 同社は申請時にチラシのサンプルを提出しており、市がそれを踏まえて承諾したことや、すでに「福岡市後援」と記載したチラシを制作・配布していたことから「応じられない」と回答。すると8日付で承諾が取り消された。

 同社の吉村秀二代表は「いったん承諾された後援が取り消されるのは初めての経験」と話す。

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