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電力カルテル問題 株主が関西電力に役員提訴を請求

粟野仁雄・ジャーナリスト|2023年6月28日7:00AM

大阪市内で会見する河合弘之弁護士(中央)と海渡雄一弁護士(右)。(撮影/粟野仁雄)

 関西電力(大阪市。以下、関電)が工場など大口顧客や官公庁への電力販売をめぐり中国電力、中部電力、九州電力とカルテルを結んでいた問題で6月7日、関電の個人株主が「カルテルによって高値で電気を購入させられた大口顧客らへの賠償や官公庁による入札資格停止処分で損害が生じている」として、同社の監査委員会に対し、24人の役員や元役員に計約3500億円の賠償を求める訴えを起こすように請求した。

 株主らは「60日経っても監査委員会が訴えを起こさない場合は大阪地裁に株主代表訴訟を起こす」としている。同様の提訴請求は九州電力、中国電力でも起こされている(中部電力の株主らは6月21日に提訴請求)。

 株主の代理人弁護士らが関西電力に提出した「責任追及等の訴え提起請求書」(6月6日付)によると、関電は中部電力(中部電力ミライズを含む)とは互いの管内の大口顧客に対し、安値の見積もりを提示し、電気代が下がることを防ぎ、利益を確保するため、互いの管内で相手が営業活動をすることを禁じた。

 中国電力とは、同社と関電の管内の顧客、さらに中国電力管内の官公庁に対して、安価な電力料金を提示してくることなどによる電気代の低下を防止して利益を確保するために、互いに相手方の供給区域での営業活動を禁止することと、中国電力管内での官公庁入札や入札参加や安値による入札を制限することに合意した。九州電力(九電みらいエナジーを含む)とは、関電と九州電力の管内の官公庁での安値の電気料金提示による電気代の低下を防止するため、互いに相手管内での官公庁で安値の電気代の提示を制限した。

 これらはいずれも独占禁止法に抵触する違法行為であり、カルテルによる損害は①高値で電気を購入させられた大口顧客や官公庁の損害に対する賠償債務は少なくとも3407億円以上、②経済産業省や大阪府など官公庁による入札資格停止や補助金交付停止などの行政処分での逸失利益は100億円以上、③社内調査費は1億円を下らない、とする。

 そのうえで個人株主らは「取締役らはカルテルに関与したり放置したりした注意義務違反がある」とする。訴訟対象として、カルテルを他社に持ち掛けた前社長(当時副社長)の森本孝氏や現会長の榊原定征氏らをはじめ、遅くとも2018年11月8日以降に違反行為の申告をした20年10月29日までの間、取締役の地位にあった年から八木誠、豊松秀己 岩根茂樹ら元会長や社長ら計24人を挙げた。

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