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関東大震災100年、朝鮮人・中国人虐殺追悼大会開催へ

小川直樹・編集部|2023年6月6日7:00AM

5月11日の記者会見で思いを述べる映画監督の呉充功さん。(撮影/小川直樹)

 関東大震災から100年となる今年、震災直後に関東各地で起きた朝鮮人・中国人虐殺の真相を究明し、国家の責任を問い、後世に伝えようとする動きが始まった。学識者やジャーナリストらによる実行委員会が9月1日前後、東京などで追悼大会などを行なう。

 実行委は5月11日、東京都内で記者会見して概要を説明した。文化人や市民活動家ら約200人の呼びかけ人が集まり、差別反対などに取り組む80以上のグループが賛同団体になっているという。

 まず8月31日、「関東大震災朝鮮人・中国人虐殺100年犠牲者追悼大会」を、東京都文京区春日の文京シビックホールで午後6時半から開く。約1800人収容の大ホールを会場にし、特別報告や追悼演奏のほか、朝鮮半島と中国から来日する犠牲者遺族の思いを聞くという。

 追悼大会に続き、9月2日に東京・永田町の国会正門前で午後7時から「国会前キャンドル集会」を開く。3日午後5時半からは、国内外の研究者や弁護士らによる「国際交流シンポジウム」を、在日大韓基督教会川崎教会(川崎市川崎区桜本)で開く。

 地震発生後の混乱の中、朝鮮人が「井戸に毒を投げ入れた」「来襲する」などの流言飛語が飛び交い、日本に住んでいた多くの朝鮮人や中国人らが自警団や官憲などに殺害された。内務省警保局が朝鮮人放火を断定し、地方長官などに取り締まりを命じる通達を出したことも、混乱に拍車をかけた。

 内閣府の中央防災会議が2008年にまとめた関東大震災の報告書では、朝鮮人・中国人らの犠牲者数を「震災による死者数(約10万5000人)の1~数パーセント」と公表。「過去の反省と民族差別の解消の努力が必要なのは改めて確認しておく」と結んだ。

 しかし以後の政府は、虐殺の事実や犠牲者数に関して、野党国会議員が何度も出した質問主意書に対し「調査した限りでは、政府内にそれらの事実関係を把握することのできる記録が見当たらないことから、お答えすることは困難である」と判で押したように答弁書で繰り返し記している。

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