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「捏造しかないと思った」 「袴田事件」死刑執行停止と釈放決めた元裁判官の証言

粟野仁雄・ジャーナリスト|2023年6月4日7:00AM


集会前、村山浩昭さん(右)と初めて対面した袴田巖さん(中)と姉のひで子さん。巖さんは頭を下げて感謝したという。(提供/袴田さん支援クラブ)

 3月に再審が決まった袴田事件で、2014年3月に静岡地裁の裁判長として、再審開始と死刑の執行・拘置を停止し釈放を認める決定をした村山浩昭弁護士(66歳)が、5月19日に参議院議員会館で開かれた「再審法改正をめざす市民の会」結成4周年記念集会に出席。弁護団の水野智幸弁護士(法政大学法科大学院教授・元裁判官)の質問に答える形で対談し、同事件における静岡県警の証拠捏造を明確に指摘したほか、釈放もそれが理由だったとするなど踏み込んだ発言をした(以下は対談の要旨。太字は水野氏の質問趣旨)。

―決定に際し裁判官ら諸先輩の判決を覆すことに躊躇(ためら)いは?

 再審開始決定には勇気がいる。三審で決めたことの重みを裁判官は知るから。しかし袴田事件の確定審の判決は異様でした。裁判所は検察の自白調書を職権で排除しており、このパターンは通常は無罪なのに判決は死刑になった。控訴審は8年もかけて袴田さんにはけないズボンを何回かはかせたほか、あてにならない証拠が多数ある中、なぜか5点の衣類だけが脚光を浴びた。それが本物の証拠か否か、真犯人が入れたかどうかだったが、他に支える証拠はないと思ったので躊躇わなかった。

――捜査機関の捏造について。

 証拠の違法収集を理由に無罪としたことはあったが(袴田事件では)最初はあそこまで大掛かりな捏造をするとは思わなかった。1年以上経って5点の衣類が見つかることは偶然ではありえない。(袴田さん以外の)誰かが入れたなら、緑のブリーフを袴田さんが使っていたことを知っていた者。衣類を味噌タンクに放り込めるのは、真犯人か捜査機関しかない。だが真犯人がそんな危険な場所に舞い戻ることは考えにくい。捏造しかないと思った。

――死刑囚の拘置停止について。

 懲役刑ならば停止で釈放だが、死刑の場合は執行停止だけで拘置の停止にはならないとされていた。合議体で拘置所を訪ねた際、袴田さん本人には会ってもらえなかったが健康状態も精神状態も極めて悪いと職員から聞いた。逃亡の可能性もまずなく、有罪になったのは捏造の結果。停止の決定文でやや感情的な言葉(これ以上の拘置は耐え難いほど正義に反する)も使ったが、釈放しかないと思った。(会場拍手)

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