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入管難民法改正案の根拠となる参与員発言の疑わしさ 「虚偽としか言いようがない」

佐藤 和雄・編集部|2023年5月27日7:00AM

記者会見で法務省の姿勢を批判する渡邉彰悟・全国難民弁護団連絡会議代表。(撮影/秋山里佳)

 岸田文雄政権が今国会での成立をめざしている入管難民法改正案で、法務省がその必要性を示してきた根拠がここにきて大きく揺らいでいる。同省が与野党の国会議員に説明してきた「難民認定制度の現状」という資料で引用した、ある難民審査参与員の発言の信ぴょう性が疑わしくなっているのだ。

 この難民審査参与員は、NPO「難民を助ける会」の柳瀬房子名誉会長。難民審査参与員とは、法務大臣に指名された非常勤の国家公務員。難民認定されなかった外国人による不服申し立てを審査する役割を担っている。

 柳瀬氏は2021年4月21日、衆議院法務委員会に参考人として出席し、「参与員が、入管として見落としている難民を探して認定したいと思っているのに、ほとんど見つけることができません」「難民の認定率が低いというのは、分母である申請者の中に難民がほとんどいないということを、皆様、ぜひご理解ください」などと発言。法務省はこの部分を資料に引用している。難民認定申請を繰り返す外国人を強制送還しても問題ない、との主張を裏付けるためだ。

 しかし、この柳瀬氏の認識は本当に正しいのか。

 そう疑わせるのは、2021年4月の参考人発言で挙げている「17年間で担当した案件は2000件以上になる」という案件の数の多さだ。

 さらに今年4月の『朝日新聞』では「難民認定すべきだとの意見書が出せたのは約4000件のうち6件にとどまる」と発言。差し引きすると、2021年からの2年間で約2000件。1年間で1000件を担当したことになる。

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