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セブンーイレブン時短訴訟 元店主はなぜ二審も敗訴したのか

村上恭介・ジャーナリスト|2023年5月22日7:00AM

4月27日、判決後に裁判所前で記者会見する松本実敏さん(右端)。(撮影/村上恭介)

 

 セブン―イレブン・ジャパン(本社・東京、以下セブン本部)により加盟店契約を一方的に解除されたのは時短営業への報復であり、優越的地位の濫用だとして、元店舗オーナーの松本実敏さん(61歳)が店主としての地位確認などを求めていた訴訟(本誌昨年7月1日号などで既報)の控訴審判決が4月27日にあった。

 大阪高裁(清水響裁判長)はセブン本部側の主張を認め、松本さんに店舗明け渡しと約1450万円の違約金支払いなどを命じた一審判決(大阪地裁、昨年6月23日)を支持し、松本さんの控訴を棄却する判決を下した。

 松本さんはセブン本部とフランチャイズ(FC)契約を2012年に締結し、大阪府東大阪市で「セブン―イレブン東大阪南上小阪店」を開業した。しかし、ともに店を切り盛りした妻を18年にガンで亡くし、人手不足も重なって過労となったため、19年2月からは24時間営業を独断で中止。午前1時から6時まで店を閉めた。

 セブン本部は当初、この時短営業を契約違反としてFC契約の解除と違約金の支払いを通告したが、年中無休営業の過酷さがマスコミなどを通じて社会問題化すると、これを撤回したうえ、19年12月になって「客への乱暴な言動が異常に多い」「SNSなどで会社や役員を誹謗中傷した」ことを理由に契約解除を強行した。

 松本さんは「契約解除は深夜営業を中止したことが本当の理由で、〝異常な顧客対応〟は口実だ」として提訴、セブン本部側も店舗明け渡しと違約金の支払いを求める裁判を起こした。

 高裁判決は一審と同様、顧客の苦情を社内で記載した「内部連絡票」などを基に、松本さんには乱暴な顧客対応が多数あり、セブン本部側に注意されても接客態度を改めなかったと認定。SNSの投稿も正当化できず、これらの行為により信頼関係が崩壊したことが契約解除の理由だと述べたうえで、松本さん側の「契約解除の真の目的は、時短営業や元日休業を問題提起し、社会的注目を浴びるオーナーを排除して、その影響力を失わせることにあった」とする主張を退けた。

 セブン本部側は「当社の主張が全面的に認められたもので、妥当な内容」とコメントした。

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