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戦争ではなく平和の準備を 「軍拡NO!女たちの会・北海道」が発足

徃住嘉文・報道人|2023年5月21日7:00AM

5月11日のシンポジウム。女性差別、貧困、権力支配など議論は多岐にわたった。(撮影/徃住嘉文)

「戦前、女性に参政権はなかったが今『新しい戦前』にはある。どう使うかが問われる」(田中優子・前法政大学総長)。43兆円の軍拡に反対する「女たちの会」の全国4番目の組織「軍拡NO!女たちの会・北海道」の設立記念シンポジウムが5月11日、札幌エルプラザで開かれ、田中さん、雨宮処凛さん、室蘭工業大学大学院教授の清末愛砂さんの議論にオンラインを含め約400人が聴き入った。

 北海道はミサイル基地、演習場など自衛隊施設の4割を抱え、隊員の7人に1人は道内出身者。戦争になれば血を流すのは南西方面だけでないことを北の大地は知っている。同会は、弁護士、看護師ら19人が呼びかけ人となり、シンポジウムでは小売業の竹田桃子さんが「戦争の準備ではなく平和の準備を」とあいさつした。

 田中さんは戦時中、参政権のない女性が政府・軍部の国防婦人会などに組み込まれた歴史を解説。新憲法でやっと参政権を手にしたのに近年は低投票率が目立つとし、この4月、女性議員が24人と、男性の23人を上回った東京・杉並区議選に希望をつないだ。「前回より投票が約2万票増えた。女性の投票率を上げれば社会を変えられる。総長の時、給付型奨学金や研究費を政府に要望してきたが、答えはいつも『社会保障に金がかかり予算がない』。それなのに43兆円の軍拡ですか」

 雨宮さんも「貧困問題に関わる人たちがずっと苦しめられてきたのが政府の『財源がない』。でも軍拡について岸田政権は財源論をスルーしている」と指摘。「2008年、東京・日比谷公園の年越し派遣村の炊き出しに来た505人のうち女性はわずか5人。男性ばかりだった。今、コロナの緊急アクションが受けるSOSメール2000件のうち女性は2、3割を占める。ただでさえ女性非正規の平均年収は153万円なのに、コロナ禍で飲食、サービス業の失業が増えた。寮やアパートを追い出されホームレスになった、1週間ほとんど食べていない、と言う。軍拡なんかしている時か、です」

 清末さんは大学の労組委員長として非常勤職員の時給を数十円上げようと交渉を続けている。北海道の冬にストーブの使用を減らす境遇を思う時、43兆円は愚劣に見える。軍拡の本質をこう衝く。「軍事的優位に立ち相手を服従させたい――こういう力に依拠する発想は、私たちの人間関係も権力を利用した支配の関係に変えていくのではないか。パワハラ、セクハラ、いじめなど、強者が闊歩する社会になるのではないか」

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