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ジャーナリスト・松井やよりが果たした役割とは 「全仕事」企画展を開催中 

本田雅和・編集部|2023年5月17日7:00AM

壮絶とも言える松井さんの仕事ぶりを「書いたもの」を通して語る高橋晶子さん。(撮影/本田雅和)

 日本軍「慰安婦」(性奴隷)問題の責任を加害国・日本のジャーナリズムの課題として追及し続けた元『朝日新聞』記者、故・松井やよりさん(1934年4月~2002年12月)の「全仕事」を網羅してふり返り、次世代に語り継いでいこうという企画展が、彼女の遺言で東京・西早稲田に開設されたアクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)で開かれている。

 4月23日には、資料整理を担当した元早稲田大学図書館司書の高橋晶子さんが「松井やよりが書いたもの」と題して講演。今後も随時、開催される解説トークシリーズの口火を切った。

 松井さんは1994年まで33年間、『朝日』に勤めたが、署名制度が確立していない時代の無署名記事も数多い。松井さん自身が、ベタ記事に至るまで1500件以上のほぼすべての記事を切り抜き、スクラップブックにしていたため、こちらは全容が解明できた。

 雑誌やミニコミ紙誌に載った松井さんの記事の探索は膨大な作業となり、ペンネームによるものも含めて高橋さんらスタッフが調べ上げたものだけでも対談・座談会や講演録も含め1000件以上。著作は単著・共著含めて100冊以上。テーマも性差別やアメリカ・フランス留学時代の自らの体験に基づいて取り組み始めた人種差別問題だけでなく、開発援助や労働搾取、公害や食品汚染、天皇制や戦争責任など多岐にわたる。wamはこれらの目録をオンラインで公開。記事検索もでき、館内では大部分が閲覧できる。(※)

 一方、松井さんは現役記者時代から第三世界の仲間らと共に女性解放の実践をめざして「アジアの女たちの会」を立ち上げるなど、従来の新聞記者の枠内には収まらない活動を展開。社の一部幹部や社内外から「中立性」を求める強い圧力や批判とも葛藤していた。

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