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「お答えは控える」は防衛省の得意技なのか

金本裕司・ジャーナリスト|2023年2月27日7:00AM

市民側からのヒアリングでは20人以上の防衛省担当者がずらりと並んだ。(撮影/金本裕司)

 戦後日本のあり方を大きく変える恐れのある安保関連3文書や防衛費倍増について、市民団体が2月13日、参院議員会館で防衛省担当者からヒアリングを行なった。

 市民側は、敵基地攻撃能力(反撃能力)保有を決定する前の段階から、米国製巡航ミサイル「トマホーク」購入の交渉を始めたことについて、「脱法行為ではないか」などと指摘した。防衛省側はトマホーク約500発を2023年度に一括購入することなどは明らかにしたが、多くの質問に、「わが国の具体的な防衛能力を明らかにすることになるため、お答えは控える」と述べ、回答を避けた。市民側からは「(内容を明かさなければ)抑止力にならないのでは」と批判の声が上がった。

 ヒアリングを実施したのは、「STOP大軍拡アクション」と「大軍拡と基地強化にNO!アクション2022」。社民党の福島瑞穂参院議員も出席した。市民団体側は事前に20項目の質問を提出。同省が回答書面を作ってヒアリングに臨んだ。

 重点が置かれた質問は、トマホーク導入の経緯や購入数、配備計画などだ。

 国会で審議中の23年度予算案には、トマホーク取得費用2113億円が計上されており、日米両政府間の直接取引である「対外有償軍事援助(FMS)」で購入する。市民側は「(昨年8月末の)概算要求にはなかった購入予定が突然、予算案に盛り込まれた理由を示してほしい」と質問したが、防衛省側は「国産のスタンド・オフ・ミサイルを整備するには一定の時間を要することから、トマホークを購入することとした」と答えるにとどめた。

 また、市民側は「『読売新聞』は、昨年8月に就任した浜田靖一大臣が購入を決断し、対米交渉を始めたと報じている。敵基地攻撃能力の保有決定前で、大臣の決断はどんな根拠に基づいているのか。岸田文雄首相や他の閣僚は知っていたのか」と質した。同省は「相手国との関係もあり答えを差し控える」としつつ、「政府として決定した」と岸田首相も含む政府全体の決定であることを強調した。

 トマホークをイージス艦に搭載、運用するため、艦艇改修費や技術支援の費用など1104億円が計上されている。福島議員は「米国に支払う技術支援が莫大なのではないか。内訳を明らかにすべきだ」と質したが、同省は説明を拒んだ。

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