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馬毛島基地化問題、西之表市長のリコール不成立に

土岐直彦・ジャーナリスト|2023年1月24日7:11AM

首相「約束守りました」?

 防衛省は米軍のため、空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)移転先として馬毛島使用を急いできた。環境影響評価(アセスメント)の最終の評価書を12日に公告するや否や着工する挙に出た。工期は4年程度。だがFCLPの早期運用を目指し滑走路など訓練に最低限必要な施設を先行施工し、2年後には整備を終える見込み。2022、23の両年度で計7654億円の予算(補正含む)を計上した。アセス対象外の管理用道路と港湾しゅんせつ工事は昨年夏着工、既成事実づくりが進められた。(『南日本新聞』1月6日)

 前日11日には防衛省幹部が鹿児島県庁を訪れ、県側に着工とアセス公告を伝えた。八板市長はこの日も賛否明言を避けたが、もはや工事に影響はなくなった。

 日米両政府が22年1月の外務・防衛担当閣僚会合で馬毛島を硫黄島からのFCLP移転先と決定してから1年。陸海空3自衛隊と米軍共用の基地化計画は大きく動き出した。13日には訪米した岸田文雄首相とバイデン大統領の日米首脳会談が開かれた。首相は昨年5月の訪米時に「防衛費の相当な増額を確保」と表明。このたびの大軍拡計画を説明し「約束を守りました」と報告した格好である。「市民の会」代表だった三宅さんは「着工の事実が、米国訪問の手土産であることは明らか」と見る。

 基地反対派は地元を無視した本体工事着手に強く抗議し、11日に鹿児島市内で、12日に西之表市内で緊急集会を開いた。

 大軍拡の最前線が南西諸島の自衛隊基地化だ。昨年12月、沖縄県の与那国島では沿岸監視隊に加えミサイル部隊の新編が明らかになった。数年後には奄美大島(鹿児島県)―沖縄本島―宮古島―石垣島―与那国島の弧状に、矛先を中国に向けた一大ミサイル網が完成。馬毛島は、九州に配備された島嶼防衛の水陸機動団や各航空基地を結ぶ軍事拠点となる。

 島々を新たな戦争に巻き込みかねない国の態勢構築が急ピッチだ。

(『週刊金曜日』2023年1月20日号)

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