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関電不正事件 「告発する会」怒りの会見

粟野仁雄・ジャーナリスト|2022年12月13日7:00AM

 関西電力の旧経営幹部らが同社の高浜原発がある福井県高浜町の元助役から高額の金品を受けたにもかかわらず大阪地検によって不起訴とされたことをめぐり、検察審査会が「起訴相当」などと議決した件を再捜査していた大阪地検は、12月1日までにすべての件を「嫌疑不十分」で不起訴にした。

12月1日のオンライン会見で大阪地検を批判する河合弘之氏(上)と末田一秀氏。(撮影/粟野仁雄)

 市民団体「関電の原発マネー不正還流を告発する会」(代理人・河合弘之弁護士ほか)は関西電力の森詳介元会長、八木誠前会長、岩根茂樹元社長ら幹部9人が高浜町の森山栄治元助役(2019年死去)から現金、商品券、金貨など多額の金品を受け取り、森山氏の関連企業に法外な契約金で工事を受注させるなどで関電に損害を与えたとして会社法上の特別背任容疑などで19年12月に前記幹部らを刑事告発した。ところが大阪地検特捜部は昨年11月、幹部全員を嫌疑不十分で不起訴処分に。市民団体側は検察審に処分の不服を申し立て、これを受けた大阪第二検察審査会は今年8月、元幹部のうち森氏と八木氏を役員報酬の補塡に関して、さらにこの2人に岩根氏も含めた3人については個人的な追加納税分を関電が補塡した問題で「起訴相当」と議決していた(本誌8月19日号で既報)。

 再度の不起訴を受けて、前記の「告発する会」の弁護士らが12月1日に緊急会見をオンラインで行なった。同会代理人の一人、井戸謙一弁護士は「すべて不起訴にするとは驚いた。少なくとも幹部らが払った税金が関電に補塡された件などは証拠も明白で、嫌疑不十分とは考えられない。検察は冤罪を生んだり再審を妨害したりする一方で巨悪を平気で逃がしている。これでは国民の検察への信頼はますます落ちるだけ」と指摘した。さらに「関電のコンプライアンス委員会はしっかりした報告書を作った。検察がそれを基に捜査するのは難しくはない。その手間すらかけないことに憤りを感じる」などと話した。

 告発人の末田一秀氏は「起訴すると思ったが残念。けしからんという声を広げて二度目の起訴相当に持ち込んでいきたい」と話した。「原子力発電に反対する福井県民会議」の宮下正一氏も「強制捜査もせずに嫌疑不十分とするのは信じられない。正義と思っていた検察は弱きを挫き、強きを助けるのか」と憤った。

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