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「史上最悪の介護保険改定を許さない!会」が集会

秋山晴康・編集部|2022年12月6日5:32AM


抗議声明を発表した(左から)大熊由紀子さん、樋口恵子さん、上野千鶴子さん。11月18日、衆議院第一議員会館で。(撮影/秋山晴康)

 厚生労働省が現在検討中の介護保険改定をめぐり、社会学者の上野千鶴子さん、認知症の人やその家族らによる「史上最悪の介護保険改定を許さない!会」が11月18日、東京の衆議院第一議員会館で院内集会と記者会見を開催。「介護保険そのものが壊れてしまいかねない。持続しうる制度になるよう一緒に頑張りたい」と訴えた。

 同会では10月5日から11月10日までにオンライン集会を計4回開いた。上野さんは厚労省が議論する改定内容について、①自己負担の原則2割化②要介護1・2の訪問介護と通所介護を地域支援・総合事業へ移行③ケアプランの有料化④福祉用具の一部をレンタルから買い取りにする⑤施設にロボットを導入し職員配置を減らす――などの問題点を挙げる。

 抗議声明を公表した「NPO法人高齢社会をよくする女性の会」理事長の樋口恵子さんは「福祉用具の一部買い取りについては取り下げられたと聞きます。こうして声を上げなければ撤回されなかった」と成果を強調した。

 特に問題視されているのが「介護サービスの低下と利用者負担の増加」への懸念だ。サービスを受けられない「介護離民」や「介護離職」が増えることも予測される。

 また、要介護1・2の利用者が「地域支援事業」へ移行することで、中小の介護事業者が存続できなくなる可能性も出てくる。千葉県で宅老所・デイサービスを展開する「いしいさん家」の石井英寿さんは「介護は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ」と怒りを露わにした。

「許さない会」のこうした動きに「主導者は介護の世界ではこれまでと同じ顔ぶればかり。介護を担う若者から見れば、なかなかなじめないのではないか」と危惧する声もある。介護の専門家や事業者の主張だけではなく、介護サービスの利用者や家族からの働きかけが、今後どうなるかが注目される。

(『週刊金曜日』2022年12月2日号)

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