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川内原発の設置変更許可取り消し訴訟 福岡高裁で双方がプレゼン

脱原発弁護団全国連絡会|2022年12月1日7:00AM


 火山問題のみを争点とする九州電力・川内(せんだい)原発の設置変更許可取消訴訟の福岡高裁(久保田浩史裁判長)での進行協議期日(非公開)が10月24日13:10から17:00すぎまで開かれ、当事者(控訴人〔住民ら〕と被控訴人〔国〕)の双方がプレゼンによる説明を行なった。証人採否決定の局面で、裁判体のうち2人が交代となり、裁判長が希望した。

 まず、国側は九州電力(参加人)が作成したプレゼン資料で説明した。規制側と事業者が実質的に一体となっており、3・11以前に先祖返りした印象を受けた。

 国は、川内原発の審査で使われた2013年の旧火山ガイド(旧ガイド)策定時は、巨大噴火を考慮することが前提となっていたのに、「社会通念上、考慮しなくてよい」と説明して、旧ガイドと19年改訂火山ガイド(新ガイド)は同じであるとの前提で「ガイドも審査内容も合理的である」と説明した。

福岡県弁護士会館で、進行協議期日後の報告集会で説明する住民側の弁護団。

 他方、住民側は、まず、中野宏典弁護士が火山事象に関する基礎知識及び、旧ガイドの不合理性について説明した。巨大噴火の中・長期的予測は不可能であるにもかかわらず、旧ガイドは、その予測が可能であることを前提として、噴火の前兆現象を把握して、原子炉を停止し、核燃料を搬出することを目的としてモニタリングが位置づけられていたことを、基準策定等の検討チームの議論を追いながら述べた。そして、新ガイドは裁判(広島高裁17年12月13日伊方原発運転差止仮処分即時抗告決定等)で旧ガイドが不合理と判断された個所を改訂し、安全性を切り下げた別物であると断じた。

 次に、甫守一樹弁護士より、適合性審査に過誤、欠落があることについて、規制委は九電の巨大噴火の可能性は低いという申請をそのまま通し、噴火の予測が可能であることを前提とした議論を行ない、噴火の前兆がモニタリングでわかるのだと誤解して、設置変更許可処分を出してしまったと断じ、当時の規制委員会委員長代理島崎邦彦氏と、巨大噴火は社会通念上無視しうるものではないと理論的に説明できる巽好幸神戸大学名誉教授の証人尋問を強く求めた。

 次回進行協議期日(非公開)は2月2日14時。控訴人側より、証人の採用を早く確定し、見通しを示してほしい旨、強く要望した。

(『週刊金曜日』2022年11月25日号)

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