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旧日本軍「遺棄化学兵器」の処理事業めぐり提訴

稲垣美穂子・フリーランスライター|2022年11月30日7:00AM

 

11月18日、東京・霞が関の司法記者クラブで黒塗り文書を見せて説明する原告と弁護団。(提供/井内千穂)

 1999年以降、内閣府が中国でそれら兵器の処理事業を行なっている。しかし処理してもなお化学兵器に含まれていた有害元素である砒素が残ってしまう。日本政府にとって、この砒素含有有害廃棄物をどうするか課題だったが、第18回有識者会議で突如ドイツでの最終処分を検討していることが判明。この議論の経過を知るために筆者は2019年10月以降行政文書開示請求を行なった。1年後に「開示」された6861ページの文書はほぼ黒塗り(本誌10月28日号既報)。本当に「公にしないことを前提に提供された非公開情報」や「将来の他国との交渉上不利益を被るおそれがある」情報なのかさえ検証のしようもない。

 そこで情報公開・個人情報保護審査会に審査請求もしたが、同会は不開示箇所について「妥当」としたため、11月18日に東京地方裁判所へ提訴し、記者会見を開いた。原告(筆者)は「砒素含有有害廃棄物を埋め捨てること、そこに私たちの税金を投じられることは、新たな被害を生む可能性と自身の加害性を否定できず、何もしないわけにはいかない」と提訴に至った思いを話した。

 また、原告の代理人は黒龍江省斉々哈爾市、吉林省敦化市で起きた遺棄化学兵器による曝露事件の被害者たちの国賠訴訟を担った弁護士12人だ。事務局長の平松真二郎弁護士は「これほど膨大な量を黒塗りにすることは原則公開という情報公開法の趣旨だけでなく、国民主権を踏み躙るものだ」と違法性を訴えた。

 原告はクラウドファンディングを通じて資金調達だけでなく周知を図る予定だ。

(『週刊金曜日』2022年11月25日号)

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