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「STOP大軍拡アクション」が防衛費増への反対集会

金本裕司・ジャーナリスト|2022年11月29日7:00AM

講演で「戦争を予防する外交を」と言葉を強める布施祐仁さん。(撮影/金本裕司)

 年末の安保関係3文書の改定や防衛費増額に反対する市民グループ「STOP大軍拡アクション」が11月18日、衆院議員会館で集会を開いた。ジャーナリストの布施祐仁さんが「米戦略に追随する安保3文書改定」と題して講演し、岸田政権が進める「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有が、東アジアへの中距離ミサイル(射程500~5500キロメートル)配備を目指す米国の戦略に組み込まれていると批判した。

 米国は、ソ連との中距離核戦力(INF)全廃条約の影響で、中距離ミサイルを保有していない。一方、中国は2000発超の中距離ミサイルを持つとされる。米国は現在、中距離ミサイルを開発中で、布施さんは「米国は日本列島から沖縄、南西諸島を経てフィリピンまでのミサイルネットワークを作ろうとしている。来年にも配備を始める」との見通しを示した。

 日本政府は、国産ミサイル「12式地対艦誘導弾」の射程を伸ばす改良に取り組み、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入も米政府に打診している。布施さんは、年末の3文書改定で敵基地攻撃能力の保有を正式に表明すれば、「米国の指揮・統制と一本化し、中国やロシアに対抗する体制に組み込まれる」と警告。「来年がミサイル軍拡競争元年になるのではないか」と懸念を示した。

 そのうえで、「中国に対し、軍事的優位性を持てば、戦争にはならないというのが岸田政権の考え。抑止万能論は意図せぬ戦争のリスクを高める」とし、「戦争を予防する外交こそ最も力を入れるべきだ。ASEAN(東南アジア諸国連合)と力を合わせて、米中が戦争を起こさないよう、対話と協力を促し、緊張緩和や信頼醸成を図る仲介外交が一番日本に求められている」と語った。「STOP大軍拡アクション」は、武器取引反対ネットワーク(NAJAT)の杉原浩司代表らが9月に結成。年末に向けて抗議活動を続ける。

(『週刊金曜日』2022年11月25日号)

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