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「怯むな報道!」弁護士ら声明 統一教会による提訴乱発問題

本田雅和・編集部|2022年11月16日7:00AM

 統一教会(世界平和統一家庭連合)がテレビ番組の出演者の発言で名誉を毀損されたとして、放送局とコメンテーターの弁護士らを相手取り、高額の損害賠償請求訴訟を相次いで起こしている。司法の民主化に取り組む「23期・弁護士ネットワーク」の澤藤統一郎、梓澤和幸両弁護士らは11月1日、一連の提訴について①報道機関を標的とした表現の自由への挑戦だ、②批判的言論を萎縮させる目的のスラップ(口封じ)訴訟だ、などとして各報道機関に「怯むことなく、市民の知る権利に真摯に応えた報道姿勢を堅持してほしい」との声明を発表した。

11月1日、声明を発表した梓澤和幸弁護士(中央)ら。(撮影/本田雅和)

 声明には各地の弁護士のほか島薗進・東大名誉教授や櫻井義秀・北大教授ら宗教学者、研究者、キリスト教牧師や浄土真宗僧侶、天理教など各宗派の宗教者ら計271人が賛同署名している。

 統一教会は9月29日に民放2社と霊感商法問題に取り組んできた弁護士ら3人を提訴。10月27日にはさらに民放2社と番組に出演して批判的コメントをした紀藤正樹弁護士とジャーナリスト有田芳生氏を提訴。一連の提訴で総額約1億円の賠償を請求している。

 今回の声明は9月の提訴について賛同を集めたものだが、10月の追加提訴についても澤藤氏は「訴状をまだ入手・検討していないので個人的見解になる」としつつ、「自らの権利の救済という民事訴訟本来の意義から逸脱し、言論への威嚇・恫喝を主たる目的とした一連の流れの中にあることは、状況から見て明らかだ」と語る。

 澤藤氏は、化粧品販売大手DHCの吉田嘉明会長による国会議員への金銭貸付を批判したブログが「名誉毀損だ」と吉田会長から高額の損害賠償を請求されたが、スラップ訴訟だと反論して勝訴。逆に反撃訴訟で吉田氏に損害賠償を求めて完全勝訴した。そんな澤藤氏でさえ、「私は弁護士45年目で初めて自身が被告になったが、最初は2000万円、後に6000万円を払えと言われ、さすがにビビった。一般の人が足が震えるというのは分かる。今回の被害者はぜひ連携・団結してほしい」と訴えた。統一教会の広報担当者は筆者の電話取材に対し「一連の訴訟は事実とは異なる発言をされた弁護士やジャーナリストに対するものなので妥当と思う」との見解を示した。

(『週刊金曜日』2022年11月11日号)

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