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動き出した重要土地等調査・規制法 批判を恐れ無難なところから

佐藤和雄・編集部|2022年10月22日7:00AM

土地等利用状況審議会に示された候補地区がある自治体。(内閣府の資料から)

 安全保障上重要とされる土地の所有者などを政府が調査し、利用を規制する「重要土地等調査・規制法」が動き始めた。同法を所管する内閣府政策統括官組織(重要土地担当)は10月11日、対象となる国境離島や自衛隊施設など候補区域58カ所を土地等利用状況審議会に初めて示し、了承を得た。今後は関係する自治体の意見を聞いたうえで、年内を目標に区域を指定し、告示する。

 この法律は、外国人による自衛隊基地周辺の土地取引に対する懸念を背景に、菅義偉政権が昨年6月の国会会期末に成立させ、今年9月に全面施行された。

 自衛隊などの防衛施設や国民生活に重大な影響を与える原発などの施設の周囲約1キロメートルと、国境にある離島を個別に「注視区域」に指定し、所有者の個人情報や利用実態を調査する。中でも重要性が高い基地や国境離島については「特別注視区域」とし、200平方メートル以上の土地を売買する際に事前届け出を義務づけている。区域の指定にあたってはこの法律に基づいて設置された土地等利用状況審議会の意見を聞かなくてはならない。

 今回提示された候補区域は、5都道県10市町の自治体内に位置しており、注視区域が29カ所、特別注視区域が29カ所。特別注視区域の候補として示された北海道根室市の根室分屯基地、長崎県対馬市の海栗島分屯基地にはレーダーサイトがあり、航空自衛隊の警戒監視部隊が配備されている。また、今回候補として示された無人の国境離島については(1)国境としての重要性が極めて高い(2)人の目が届きにくい――などを理由に選定された。

 同法へは「政府による私権制限」など国会内外で厳しい批判が出ていた。このため第1回の対象区域は批判の出にくい場所を選び、原発などの生活関連施設や沖縄県などは外したようだ。

         ◇

 指定区域の候補は次の通り。◎は特別注視区域、それ以外は注視区域が所在する。一つの候補地に複数の区域が指定されている場合がある。

【北海道】
▽枝幸町=ゴメ島◎▽根室市=イソモシリ島・ハボマイモシリ島◎、根室分屯基地◎、牧の内訓練場▽厚岸町=大黒島◎▽松前町=大島◎、松前警備所◎

【青森県】
▽大間町=弁天島◎

【東京都】
▽八丈町=小島◎、八丈島▽所属市町村が未確定=鳥島◎

【島根県】
▽隠岐の島町=沖ノ島◎、黒島(島後の北北西)◎、カビ島◎、黒島(島後の南東)◎、島後(隠岐海上保安署を含む)▽出雲市=ましま◎、艫島◎、オノカメ◎、やり島◎、マ島◎、出雲駐屯地

【長崎県】
▽対馬市=黒島◎、内院島◎、対馬(比田勝海上保安署、対馬海上保安部を含む)、海栗島分屯基地◎、上対馬警備所◎、高麗山無線中継所◎、城岳無線中継所◎、対馬防備隊◎、権現山無線中継所◎、対馬駐屯地◎、下対馬警備所◎、豆酘崎無線中継所◎▽五島市=男島◎、黄島、福江島(五島海上保安署を含む)、嵯峨ノ島、福江島分屯基地◎、福江島着陸場

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