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「安倍国葬」の案内状が届いた人たちの反対声明

岩本太郎・編集部|2022年10月1日7:00AM

9月16日の記者会見。左から 中川智子、黒岩秩子、秋葉忠利、吉川春子、瀬古由起子の各氏。(撮影/岩本太郎)

 安倍晋三元首相の「国葬」実施を11日後に控えた9月16日、元衆議院議員(元広島市長)の秋葉忠利氏を呼びかけ人代表とする「国の乱れを憂うる元国会議員有志の会」が東京・永田町の参議院議員会館で緊急記者会見を開催。「『故安倍晋三国葬儀』に反対する」と題した声明を発表した。

 会見には秋葉氏のほか瀬古由起子、辻恵、中川智子(以上、元衆議院)、黒岩秩子、吉川春子(以上、元参議院)が出席。声明にはこの6氏のほか、超党派で集まった元国会議員を含めた計24人(同日時点。氏名は末尾に)が賛同した。みな国葬の案内状を受け取ったが、当日は欠席するという。

 会見では、まず司会の中川氏が声明に至る経緯を説明した。案内状は各氏へ速達で10日に、ほぼ一斉に届いたが、返信ハガキに記載の投函期限は3日後の13日。すでにSNS等で話題になっている通り当初「8日」と印刷された部分を修正した跡が残るなど、事務作業の混乱を想起させるものだった。中川氏は当初は「無視しよう」と考えたそうだが、10日夜に秋葉氏から電話で「無視するよりも明確な反対理由を、仲間に呼びかけて表明しよう」と提案されたのを受けて呼びかけを開始したという。

 次に秋葉氏が発言。今回の国葬に関しては、自身は案内を受けた「当事者」であり、ならば国からも発言権を認められたとの認識のもと(以下概略=※欄外注参照)、

A「国葬」は憲法違反である。

B「国葬」が許されると仮定したとしても、その実態から国葬は中止するべき(これほど民意が分断されている状況で国葬を強行するのは民主主義と相容れない、安倍元首相の犯した憲法違反を糾弾すべきだ、等)。

C 海外からの参加者に「フェア」であるべき(それを意識していないにせよ、参加することで安倍氏による憲法の蹂躙、多くの疑惑、統一教会との関係を正当化する結果になる、等)。

 秋葉氏は「国葬」か「国葬儀」かとの名称関連の議論にも触れ、どちらにせよ同じ儀式で「この両者に違いがあるという詭弁により国葬についての冷静な議論を避けようとする官僚的姑息さは全否定する」とも訴えたほか、現職の国会議員に向けて「もっと怒れよ。現職が情けないから元国会議員が老骨にムチを打って出てこなきゃいけなくなった」と訴えた。

今後も継続的議論が必要

 現在弁護士として活動中の辻氏は、国葬の根拠として内閣府設置法4条3項33号が定める「国の儀式」を政府が挙げたことについて「これは内閣府の所掌事務を定めたものであって法的根拠にはならない」と指摘。「予備費から費用を出すというのも国の支出について定めた憲法85条に違反しており、むちゃくちゃだ」と批判した。

 瀬古氏も「国会の議決もなく、葬儀費総額が葬儀後にならないとわからないような形で国民の血税を使うなどということは財政民主主義を定めた憲法に違反することは明らかだ」と訴えた。

 吉川氏は現職だった1990年代に「娘が統一教会の合同結婚式に出た後で行方不明になった」という友人からの相談を受けて調査に動いた。「統一教会と国会議員を結びつけるキーパーソンだったとの疑いが濃くなっている安倍氏を、憲法違反の国葬で天まで祀り上げることは不適切ではないか」。

 保育士出身の黒岩氏は、安倍氏や統一教会との関係を指摘されている山谷えり子参院議員によって日本における性教育の推進が阻害された過去に言及。その背景にも統一教会の存在があったのではとしつつ「これから統一教会と自民党との深い関係がますます明らかになってくるだろう」と語った。

 秋葉氏は会見の最後に「国葬の終了後もこの問題を議論し続けていく必要がある」と強調した。

〈以下は声明賛同人(前記6氏は除く。敬称略、9月16日現在)〉

家西悟、石毛鍈子、上野建一、大淵絹子、大脇雅子、岡崎宏美、金子哲夫、川田悦子、喜納昌吉、栗原君子、服部良一、浜田健一、平岡秀夫、藤田一枝、松野信夫、水島広子、山口わか子、山田正彦

※声明「『故安倍晋三国葬儀』に反対する」全文は秋葉忠利氏のブログ(https://kokoro2016.cocolog-nifty.com)の9月17日付、18日付記事で公開中。

(『週刊金曜日』2022年9月30日号)

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