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20~30代女性の立候補を応援するプロジェクト発足

神原里佳・ライター|2022年9月23日7:00AM

 若者の政治参加を呼びかける一般社団法人NO YOUTH NO JAPAN代表理事の能條桃子さん(24歳)らが9月6日、厚生労働省で記者会見し、若年女性候補者を応援する「FIFTYS PROJECT」の立ち上げを発表した。

会見を行なった「FIFTYS PROJECT」代表の能條さん(右から2人目)、副代表の福田さん(左から2人目)ら。(提供/FIFTYS PROJECT)

「FIFTYS PROJECT」は20~30代の女性議員を増やすことを目的とし、選挙に立候補する女性を支援する取り組み。当面は来春の統一地方選挙に向け、全国の地方議会で少なくとも200人の女性が立候補することを目標としている。

 今年7月に世界経済フォーラムが発表したジェンダーギャップ指数では、日本は世界146カ国中116位。政治分野に限ると139位となっており、国際的に見ても極端に遅れている。

 プロジェクト代表の能條さんや副代表の福田和子さん(27歳)らは昨年、森喜朗元首相の女性蔑視発言に抗議する署名運動を展開し、約15万筆を集めたが、「社会は根本的には変わっていない」と感じているという。

 能條さんは「2021年の衆院選で、女性の当選者は465人中45人。わずか9・7%という比率だった。男性中心の政治を変えなければ、署名運動なども一過性のムーブメントで終わってしまう」と危機感を募らせる。福田さんも「性教育の遅れ、生理の貧困、避妊や中絶に関して女性が主体的に選択できないなど、女性や性的マイノリティを取り巻くさまざまな問題が放置されている。解決のためには女性の地方議員を増やし、草の根で全国的に運動を広げていく必要がある」と、プロジェクト立ち上げの意義を説明した。

 現在、20~30代の地方議員の女性比率は18%にとどまっている。女性が1割未満の政党・会派や女性ゼロ議会もある。能條さんらはこの比率をまずは30%まで引き上げたいと考えている。

 まずは立候補に関心をもつ20~30代の女性や、性自認が男女どちらにも当てはまらないXジェンダー、ノンバイナリーといった人々を募り、選挙に関する相談会や勉強会の開催、政策への助言、SNSを活用した情報公開やコミュニティづくりなどを進めていく。趣旨に賛同する人であれば所属政党は問わない。資金提供はしないが、資金調達などについてはアドバイスをするという。

女性首相の実現も視野に

 会見では、7月の参院選で女性候補者を応援する運動に参加した現役大学生も登壇。津田塾大学4年の大島碧生さんは「応援した女性候補者が落選して残念な思いもしたが、応援活動自体はとても楽しく、政治家を身近に感じるきっかけになった。政治家を育てるのは、自分にとっての推し(イチオシ)を応援する“推し活”に似ている。気軽にのびのびと候補者を応援する空気をつくっていきたい」と話した。

 お茶の水女子大学2年でセクシャルマイノリティの当事者だという山島凛佳さんは「将来に不安を感じているが、待っていても何も変わらない。こちらから政治に近づいていかなければ」と市長選挙で女性候補者を応援した経験について説明。「結果は落選で悔しかった。正直、ボランティアに依存するところが大きい選挙活動は、時間的・金銭的に余裕がある“特権をもつ人”でないと難しいと思った。誰もが生活に合わせて自分のペースで政治参加できる仕組みも必要」と問題提起した。

 能條さんは「1946年に初めて女性国会議員が誕生し、男女平等への一歩となったが、選択的夫婦別姓や同性婚はまだ実現していない。性犯罪ではいまだに被害者の立場が圧倒的に弱く、男女格差や根強い性別役割分業・規範なども解消されていない。先人はこんな76年後を想像していただろうか」と指摘。「学校で参政権について習うが、投票に行くだけが政治参加ではない。社会を変えてくれる誰かを待つのではなく、立候補するという選択肢をぜひ視野に入れてほしい」と呼びかけた。

 そして「女性地方議員が増えれば国会議員も増え、その先に女性首相の誕生がある。女性が自分らしい人生を歩める未来を目指し、私たちの世代で政治分野のジェンダーギャップを解消したい」と展望を語った。

(『週刊金曜日』2022年9月16日号)

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