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ウィシュマさん死亡事件、入管の「悪意なき拷問」と「悪意ある隠蔽」とは

西中誠一郎|2022年1月20日5:38PM

 名古屋出入国在留管理局(名古屋市)で昨年3月6日に死亡したスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)の死亡前の様子を撮影した監視動画が、昨年12月24日、衆議院法務委員会所属の与野党議員に開示された。

 これまで政府与党は「保安上の問題」「死者の名誉、尊厳」などと言ってビデオ開示を拒んできたが、遺族側が裁判所に申し立てた「証拠保全」手続きに基づくビデオ開示が同日に名古屋地裁で行なわれることを受け、与野党の合意のもと衆議院議員十数人が国会内で閲覧した。ビデオは保存期間の関係で死亡前13日間・295時間分が保存されているが、うち6時間26分が開示された。27日には法務委員会の参議院議員も閲覧した。

「職員に悪意はないかもしれないが、やっていることは拷問に他ならない」と、閲覧後の会見で立憲民主党の階猛議員(衆議院法務委員会の野党筆頭理事)は述べた。同党の鎌田さゆり議員(同理事)は、もっと早い段階で救急搬送すべきだったとの見解を示した。

ビデオ視聴後に会見した立憲民主党衆議院議員の階猛(右)、鎌田さゆり両氏。(撮影/西中誠一郎)

 後日、階議員に個別インタビューを行ない、ビデオで見た「拷問」の実態について聞いた。

「死の当日、ウィシュマさんは血圧も脈拍も測定不能。ほとんど何の反応も示さず、首がふらふらで意識のないような状態だったが、入管職員が彼女の顔を上向きにして口を開かせ、飲み物や薬を流しこんでいた」(階議員)

 職員自体は「悪人には見えない」が「具合が悪くなる状態をずっと放置し、命を守ろうという意思が見えなかった」。これが「悪意なき拷問」の実態だ。階議員は、「おそらくどの職員でも、同じようなことをしたでしょう。構造的、組織的問題ということ。組織の抜本的改革が必要」と語った。

 一方で、昨年8月に出された死亡事件についての法務省の「最終報告書」には、3月6日の様子についてこう書かれていた。

「看守勤務者らは、A氏(編集部注:ウィシュマさん)の上半身を起こし、処方薬(同前:薬名は省略)を服用させた。この際、看守勤務者1名が背中及び頭を支え、もう1名の看守勤務者が口内に薬と飲み物を入れた」

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