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小川淳也立憲民主党議員インタビュー
「この国を変えるには人類史的、文明史的な転換が必要」
「政治のターゲットは社会保障」

2021年11月10日7:04PM

小川 淳也(おがわ じゅんや)・1971年、香川県高松市生まれ。高松高校・東京大学を経て、94年、自治省(現総務省)に入省。2005年、衆議院選挙初当選。民主党、民進党、希望の党、無所属を経て、立憲民主党会派に所属し、立憲民主党代表特別補佐を務める。著書に『日本改革原案~2050年成熟国家への道~』(光文社)など。

10月31日投開票の衆議院選挙で平井卓也前デジタル担当相を破り、悲願の香川1区での勝利を手にした小川淳也衆議院議員。ジバン、カバン、カンバン、いずれも持たないが、小川議員の高い志と、共感した市民の熱い支援があればこその結果だ。小川議員にとって政治とはなにか。社会をどう改革していくのか──2020年9月25日、本誌「政治時評」の執筆者である西川伸一明治大学政治経済学部教授がインタビューした。

――大島新監督が17年間、小川淳也議員を見続けた映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』を観ました。

 今日現在、まだ私は映画を観ていないんです(笑)。作品の中立性に手垢をつけないためには、自分は観ないほうが一番だと思いまして。ただ、知り合いからいろんな感想は聞きます。それで、だいたいこういう作品なんだなというイメージはついているのですが。

【「自民党はプロ」】

――そうですか。映画の中の国会質疑で「自民党はプロですよ」と小川議員が発言するシーンがあります。それを強く感じるのは、どういう場面あるいは事柄でしょうか。

 自民党の場合は、良い悪いを含めて、党内の派閥を中心に神経回路が整えられています。国会や内閣の人事を見ていると、衆議院議院運営委員会の筆頭理事の岸信夫さんが防衛大臣、衆議院予算委員会の筆頭理事の坂本哲志さんが内閣府特命担当大臣で入閣されています。これは今に始まったことではなくて、代々そういう人事ルートができあがっているんですよね。重責に就いて裏方でしっかり汗をかけば報われる。官房副長官を務めた人は、必ず入閣しています。

――なるほど、そうですね。

 財務大臣や官房長官等内閣の骨格は替えずに、他の閣僚ポストだけを替えて、党内の人心掌握に利用する。そうした術策をもって党内統治が利いています。それが政権という重い荷物を抱えたときに、なかなか倒れにくい政党構造の骨格を成している。このへんがプロですよね。

 政治の本質は「統治」です。「統治」とは、「人心を治めること」なので、それが人事やシステムを通して、彼らなりの経験をもとに積み上げられたものがあるんだと思います。そこは民主党政権の、良く言えばういういしさ、悪く言えば稚拙さ、まずさと比較すると、彼らは統治の集団のプロだと思います。

――そのプロ集団とも言える菅義偉政権が発足早々に打ち出した「ローポリティックス」(不妊治療の保険適用、携帯電話料金の引き下げ、デジタル庁設置、行政改革目安箱「縦割り110番」など)は手強いと思います。国民の生活に身近で、野党も反対しにくい政策を掲げています。

 一方、安倍晋三政権は「ハイポリティックス」(憲法改正、集団的自衛権、「歴史戦」など)、すなわちイデオロギー色が強く、直接的には国民の生活に影響しない、野党が反対しやすい問題に熱心でした。この「ロー」菅政権との対抗軸というか、野党の存在理由をどう打ち出しますか。

 派手なポピュリスト(人民主義)である安倍政権は、どちらかと言えば隙もあるけど花もある。それが、菅さんになって地味な政権に代わったなという印象を受けています。

 今日(9月25日)の『朝日新聞』朝刊の佐伯啓思先生の寄稿で、政治家と行政官の違いについて触れていましたが、菅さんはまさに行政官みたいだなと思います。種々の問題に対処していくことは上手だけれど、新たなテーゼ(政治運動の方針)を打ち出したり、歴史的な背景から未来を描いたりする人ではありません。

――本来の政治家の仕事は、テーゼの打ち出しと実行にあるというのですね。

 菅さんが小粒な問題処理係的な政治を行なってくるとすれば、リベラルに立脚した上での大きなテーゼを私たち野党が打ち出すという宿題が投げかけられているように思います。

 そこで重視されるのは、GDP(国内総生産)信仰などによる経済成長主義ではなく、むしろ生活保障とか生活重視が重要となります。今後は環境調和を度外視した経済成長はもう許されない時代だとはっきり言い切るくらいの大時代的なテーゼを打ち出して、だからこそ政治のターゲットを生活保障に大胆に切り替えた政策体系を並べていく必要があります。

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