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難民申請者狙い強制送還は「裁判を受ける権利」侵害 
入管行政への「違憲」判決確定

西中誠一郎|2021年10月25日8:42PM

10月7日、記者会見で黒塗りの入管文書を示す高橋済弁護士。(撮影/西中誠一郎)

東京入管への再収容当日に難民不認定処分を告知され、翌朝強制送還されたスリランカ人男性2人が起こした国賠訴訟の控訴審判決(9月22日東京高裁。10月1日号本欄参照)は国側が上告を断念し、違憲判決が確定した。入管行政が「適正手続きの保障」と「裁判を受ける権利」を侵害したと初めて断罪した画期的判決について、原告弁護団が10月7日に東京都内で記者会見を開いた。

高橋済弁護士は裁判で証拠保全した黒塗りだらけの入管文書を示した。それによると、原告2人の難民不認定の異議申立棄却決定は2014年11月7日だが、同年10月23日には2人の名前がすでに強制送還の対象者リストに載っていた。しかも棄却決定が2人に告知されたのは40日後、東京入管に再収容された12月17日。翌朝に強制送還された2人は、その場で弁護士との電話連絡が許された30分間に留守電へ「先生、助けて」と伝言を入れるのが精一杯だった。「収容送還と難民認定の担当部門が入管行政で一体になっていることがそもそもの問題」と高橋弁護士は指摘した。

同年12月にベトナムとスリランカへ同じ便で強制送還された32人中少なくとも26人が難民申請していたこと、16年9月のスリランカへの集団送還で30人中22人が難民申請していたことも報告された。児玉晃一弁護士は「『送還忌避者』や『難民申請の濫用』などのレッテル貼りで難民申請者を狙い撃ちしたのは明らか」と語る一方、今後は被害者の実態調査や、裁判を起こせなかった人への謝罪と補償が必要だと強調。「難民申請者の個別の強制送還も珍しくない。日本政府の責任は重大」と語った。

記者会見にZoomで参加した原告の1人は「入管にはまず謝罪してほしい。帰国後は生命の危険があり、安心安全な生活はない。できれば日本で再度難民申請したい」と訴えた。

(西中誠一郎・ジャーナリスト、2021年10月15日号)

 

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