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入管問題も選挙の争点に! 
【対談】階猛・立憲民主党前衆議院議員×中島岳志・東京工業大学教授

階猛×中島岳志|2021年10月18日1:31PM

これまで、ウィシュマさん死亡事件の真相究明、ビデオ開示などを求め、会見やデモ、署名活動などが続けられてきている。(撮影/渡部睦美)

【入管問題は立憲民主党の1丁目1番地の問題】

中島 「入管法改正案」が廃案になったのは、菅義偉内閣が衆議院選挙を控えていたということも理由の一つです。ウィシュマさんのビデオが開示されれば、あまりにもひどい内容でしょうから、世論の批判は政府に向かったでしょう。ウィシュマさんの死をめぐって次々と事実が明らかにされていく中で、世論の反発も強まり、何とか沈静化しようとして、一旦、廃案にしたというのが実態だと思います。

つまり、今回の衆議院選挙が終わり、もし自民党が引き続き政権を担うことになった場合は、また「法改正」を進めてくる可能性があるということです。入管法は入管行政改善のために改正しなければなりませんが、自民党の改正案は明らかに「改悪」です。野党側が、積極的にこれからの入管のあり方を提案しなければなりません。継続性を理解して闘う必要があり、階さんの力も重要になってくると思いますが、この後の闘いをどのように考えていますか。

 とにかくウィシュマさんの件の真相解明ができていません。ビデオの国会への開示もまだです。まずは、これが前提です。そのあとで国会審議が始まると思っています。

このことを新しく法務大臣に就任した古川禎久氏に要請しようとしましたが、法務大臣は急な公務が生じたという理由で、面談予定を急遽キャンセルしました。そして、国会議員との面会すらキャンセルするほどの「急な公務」とは何なのか、繰り返し尋ねましたが答えないのです。なので、国会の議場で近寄って要望書を手渡しました。

中島 ウィシュマさんのビデオが開示され、入管で何が行なわれてきたのかが白日の下にさらされなければなりません。私たちは現実を直視するところから始めなければなりません。そこから人権の問題、外国人労働者の問題、難民受け入れの問題を真剣に考えなければならない。階さんが初めに話したように、普遍的な問題として議論しなければなりません。

 立憲民主党としては、入管問題は1丁目1番地の問題として取り組まなければならないと思っています。憲法が最高の価値とする個人の尊厳に関わるからです。これは立憲民主党が何をやるための党なのかという政党のレゾンデートル(存在意義)にかかわる問題です。その立場を示した上で、普遍的問題として訴えていきたいと思います。

ウィシュマさんの問題は氷山の一角です。真相究明で終わりではなく、再発防止策を法律という形で国会で決め、入管行政を縛っていかなければなりません。これまでの入管行政の度重なる不正をただし、このようなことが絶対に起こらないようにしなければなりません。私は徹底的に取り組んでいきます。

(まとめ/中島岳志、2021年10月18日配信、週刊金曜日オンライン限定記事)

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