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「フェミサイド」にNO!
「女性をはけ口にしないで」

2021年10月1日8:46PM

8月6日に発生した小田急線車内での刺傷事件で、容疑者が「幸せそうな女性を見ると殺したいと思っていた」などと供述していると報じられて以降、女性であることを理由に殺される「フェミサイド」についての議論が高まっている。

記者会見に臨む「フェミサイドのない日本を実現する会」メンバー。左から2人目が皆本さん。(撮影/小川たまか)

オンライン署名サイトChange.orgでは学生らによる署名「小田急線事件を契機に、フェミサイドの実態を解明し対策を講じてください!」が始まり、1万7000筆以上が集まった。9月17日には、署名発起人の皆本夏樹さん(活動名)ら、「フェミサイドのない日本を実現する会」のメンバーが記者会見し、署名と要望書を上川陽子法務大臣へ提出することを報告した。

皆本さんは事件に衝撃を受け、何かしなければと思いキャンペーンを始めたと語った。事件では、20歳の女子大学生が7箇所刺されるなど、刃物で切り付けられたうちの4人中3人が女性。また容疑者の男は万引きを女性店員に通報されたことを逆恨みしていたと報道された。

皆本さんは、ドメスティックバイオレンス(DV)やセクシュアルハラスメントも言語化されたことで可視化が進んだとして、「フェミサイドを言葉にして概念化する必要性」を訴えた。「(小田急の事件が)日本初のフェミサイドではない。2021年6月には立川でセックスワーカーの女性が殺され、20年8月には福岡で女性が殺された。過去の事件についてもフェミサイドという概念の元に調査をしてほしい」と皆本さん。

ネット上では「これはフェミサイドではない」などの否定的な声も目立つ。大学院生の田澤真衣さんは、「一見正当な指摘と見せかけるのがひどいところで、これと対決していかないといけない。こういった言説が氾濫しているのが女性蔑視が続いていることの裏付け」と話した。

署名には「『男らしさ』を求められる社会で苦しんでいる男性がいることもわかりますが、その苦しさのはけ口として暴力を女性に向けるのは間違っています」など、多くの声が寄せられている。

(小川たまか・ライター、2021年10月1日号)

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