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「ニュース女子」制作のDHCテレビに賠償550万円と謝罪掲載命じる判決 
東京地裁

岩本太郎|2021年9月13日4:56PM

【「9月1日判決」の重さ】

原告である辛さん自身は判決をどう受け止めたのか。記者会見で佃弁護士に続き発言に立った辛さんは「とても画期的な判決をいただきました」と評価。そのうえで長谷川氏への請求が認められなかった点については「大変残念」とし、判決申し渡しが9月1日となったことが「相当にこたえました」と、法廷に臨んだ際の悲痛な心中を、声を詰まらせながら吐露した。

この日は98年前に関東大震災が起きた日だ。直後に大勢の朝鮮人たちが虐殺された惨劇は、デマという“犬笛”(大衆煽動のための道具)で引き起こされたものであり、あの「ニュース女子」という番組は「私にとって“犬笛”でした」と辛さんは指摘。そうした番組の作り手を今日の判決がまったく裁かないものだったとしたら「この国は本当に何も変わらない」との絶望感に苛まれただろうと。自分を深く傷つけた発言を、司会として出演者から引き出す役割を演じた長谷川氏については、そうした“犬笛”となる番組で「番組の意図に完璧に沿った進行を果たした」と批判した。

金弁護士は今回の判決が「名誉毀損」は認めたが「人種差別」について判断をしなかったとの疑問を呈示した。BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送人権委員会は18年3月、同番組に辛さんへの人権侵害と放送倫理上の問題があったとの「勧告」を行ない、その中で東京MXに対し「人権や民族に関することを扱う際に必要な配慮を欠いていた」と指摘した。原告も今回の裁判では番組内容が人種差別にあたると主張したが認められず、金弁護士は「やはり包括的な人種差別禁止法が日本にないと難しい」と現状での悩ましさを語る。

辛さんは今回の判決を「第1ラウンド」としたうえで、今後はフェイクニュースによる人権侵害や沖縄差別の問題に立ち向かっていくためのさらなるステップにしていきたいとの決意を、再三にわたり強調した。

(岩本太郎・編集部、2021年9月10日号)

 

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