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駅アナウンスを悪用した
女性の障害者への痴漢・つきまとい多発

小川たまか|2021年9月4日11:00AM

障害のある女性への痴漢などの加害について伝えるDPI日本会議のホームページ。

「やばすぎる、なんだこれ」「この問題を知らなかった」――

8月25日、障害者の当事者団体であるDPI日本会議がホームページ上で発表した調査結果に、ネットユーザーが多数反応した。一部の鉄道事業者は障害者が乗降する際にアナウンスをするが、このアナウンスを悪用して障害のある女性に痴漢やストーカー行為を行なわれているというのだ。

同団体のバリアフリー部会が今年6月に行なった聞き取り調査から、次のような被害例12ケースが挙げられている。

「始発の車両内のドアのところに立っていたら、酒臭い男に声をかけられた。『障害者は前か後ろにしか乗らないから話し相手が欲しい時はすぐわかるよ。見えないってどう?怖い?』等、3駅ずっとしつこくされていた」(視覚障害者)
「アナウンスで行先まで言われたときに、一緒のドアから乗った男性に『こんな時間に障害者がなんで新宿なんか行くんだよ』と言われた」(車いす使用者)
「発車後に別の車両から来た会社員の男性に『○○駅は良く知っているよ、送っていこうか?』と何回もしつこくされた」(同)

車いす使用者の女性が被害に悩み、周囲の女性障害者にヒアリングを行なったことから、今回の調査公表につながった。佐藤聡事務局長は、「自分も車いすに乗っているが、このような被害には遭ったことがない。男だから言ってこないのだと思う。障害のある女性が狙われているのでは」と話す。

証言した女性の多くは「二度と被害を話したくない」と語っているといい、「ひどい被害のため」に、証言者が事例をホームページで紹介することを希望しなかった被害も3件あるという。精神的な被害の深刻さも懸念される。同団体は、駅アナウンスの中止や被害の周知を求めていく考えだ。

(小川たまか・ライター、2021年9月3日号)

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