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旭川医大の『北海道新聞』記者常人逮捕に疑問の声噴出

徃住嘉文|2021年7月5日1:05PM

『北海道新聞』記者逮捕の舞台となった旭川医科大学。(同大学公式サイトより)

不祥事報道が続く国立大学法人旭川医科大学(北海道旭川市)が6月22日、学内で取材中の『北海道新聞』女性記者(22歳)を建造物侵入の疑いの現行犯で常人逮捕し、北海道警察旭川東署に引き渡した。同日は学長選考会議が開かれて「学長解任」が決議されており、同大は「原則立ち入り禁止にしたのに、記者は会議室の外で録音をしていた」と説明。報道関係者の間では「こんな逮捕が認められるなら権力チェックは難しくなる」と衝撃が走っている。

同大の吉田晃敏学長は、過疎地と大学を通信で結ぶ遠隔医療システムなどで評価され、2007年から同大トップを務めてきた。が、昨秋、新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生した旭川市内の民間病院を、学内会議で「コロナをまき散らし」と非難したり、患者を受け入れようとした同大付属病院長に「代わりにお前が辞めろ」と迫ったりしたと報道された。また、契約切れの学長特別補佐に月額約100万円の報酬を払わせ続け、自身も近隣病院のアドバイザー契約だけで長年、毎月40万円を受け取っていたと『朝日新聞』などに書かれた。

1月に入り同大は、内部情報を報道機関に漏らしたのは付属病院長だなどとして解任。学内情報の外部流出対策を強化していた。一方、学長のこうした行為に反対する教職員らが学長解任要求の署名を学長選考会議に提出していた。

22日の会議は非公開で、『毎日新聞』によると午後4時前、同大から報道各社に、コロナ感染対策として記者団の取材に応じる午後6時ごろまで学外者の立ち入りを原則禁止する、とファクスが来た。

逮捕は、北海道警察旭川方面本部によると午後4時30分ごろ。正当な理由がないのに侵入したところを大学職員が逮捕した、という。同大は本誌の取材に「職員が会議室の外へ出ようとしたところ、出入り口の扉の隙間から会議内容を録音していた者と対面。その場で相手の身分や目的を問うたが、明確な返答がなく、逃げ去ろうとしたため、学外者が無許可で建物内に侵入していると判断し、警察へ連絡した」と回答した。

警察の調べに「どこで会議をしているか探していた」と供述しているとの一部報道もある。各紙が記者を匿名で報道する中、道新は23日付朝刊で実名とし「逮捕は遺憾。記者は学長解任問題を取材中だった。逮捕の経緯などを確認し、読者の皆様に改めて説明する」などとコメントした。

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