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東京五輪組織委、新理事に利害関係者を選任 
体質は旧態依然か

伊田浩之|2021年3月19日8:03PM

森喜朗氏辞任の2月12日、組織委員会本部前にあったバナー。今も批判の声は続く。(撮影/宮本有紀)

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(組織委、橋本聖子会長)は3月3日、評議員会を開き、理事の上限を35人から45人とするよう定款を変更、新たに12人の女性理事を選任した。ただ新理事には、大手広告代理店「電通」の関連会社社員が含まれており、利害関係者の就任を疑問視する声があがっている。

女性理事は7人から19人に増え、45人いる理事の女性比率は20%台から42%になった。

就任が疑問視されているのは、一般社団法人日本パラリンピアンズ協会会長や公益財団法人日本障がい者スポーツ協会理事を務める大日方邦子氏(48歳)。パラリンピック冬季大会(アルペンスキー)に5回出場し、1998年の長野パラリンピックでは、冬季パラリンピック日本人初の金メダルを獲得している。

大日方氏は96年に大学卒業後、NHKに入局。2007年に株式会社電通パブリックリレーションズ(牧口征弘社長、292人〔20年1月現在〕、19年度売上高約110億円。電通PR)に転職した。同社サイトによると「競技に専念できる環境を求め」たのが理由だという。

組織委戦略広報課は「17年度より電通PRに国内広報業務の支援業務を委託しているが、個別企業との取引額は公表を控える。特別の利害関係を有するものがいた場合には、該当する理事を除いた理事で決議する」と回答した。

東京五輪を批判し続けている作家、本間龍さんがあきれる。

「電通がオリパラを仕切っているから明らかな利害関係者です。公平公正な判断ができるとは思えません。ただ、中身については決定済みで、理事会で協議することはもはやほとんどないため、問題視する報道がないのでしょうね」

女性理事が増えたのは喜ばしいが、数字合わせにすぎないのならば組織委の体質は旧態依然だ。

(伊田浩之・編集部、2021年3月12日号)

 

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