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牛久入管内糞尿散布事件で初公判 
背景に医師の「嫌がらせ」か

崎山勝功|2021年3月2日4:21PM

初公判終了後、報道関係者や市民らに説明する弁護士や支援者たち。(撮影/崎山勝功)

出入国在留管理庁東日本入国管理センター(牛久入管、茨城県牛久市)で2020年9月1日、同所内の診療待合室に自身の糞尿を撒き壁などを汚したとして建造物損壊罪と器物損壊罪に問われているイラン国籍男性(54歳)の初公判が2月3日、水戸地裁土浦支部(坂巻陽士裁判長)で開かれた。

検察側は冒頭陳述で、男性が同所に16年7月から約4年以上収容されたうえ、難民申請や仮放免申請を却下された件に触れ「施設への不満をアピールするために糞尿を撒き散らした」と主張した。

弁護側は事実関係を認めたうえで、男性を支援する市民団体からの寄付金で同所に被害弁償した点や、男性が同所の男性医師から「あなたの命、人生、私の手の中にある。気に食わないなら日本から出ていけ」という言動など嫌がらせを度々受けて、精神的に追い詰められていた点を挙げた。

情状証人で出廷した「牛久入管収容所問題を考える会」の田中喜美子代表は、男性や他の収容者の訴えを受け「(同所の)医療関係者からひどい扱いを受けている」と、同所総務課に口頭で抗議を伝えたが「担当者は口頭で『上に伝える』と答えただけ」と証言。検察側の「前にも同じような事はあったのか」との質問には「多くあった。(以前に糞尿を撒いた人の)多くは笠間市の県立こころの医療センターに移され、仮放免になったと聞いている」と証言した。

公判後の説明会では、参加者から医師の言動を問題視する意見があった。医師の言動が事実なら、公務員職権濫用罪(刑法第193条)や特別公務員暴行陵虐罪(同195条)に当たる疑いがある。

公判で同支部が用意した傍聴席は9席のみ。多くの市民や『茨城新聞』記者ら一部報道関係者が傍聴できなかった。水戸地裁総務課は「次回以降は考えて対応したい」と改善の意向を示した。次回は2月24日15時30分から同支部で、被告人質問が行なわれ結審の予定。

(崎山勝功・元『常陽新聞』記者、2021年2月12日号)

 

 

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