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2月7日投開票の浦添市長選──那覇軍港返還に名を借りた浦添新軍港建設の是非が焦点

渡瀬夏彦|2021年2月5日7:00AM

SACO合意の弊害

浦添市長選の伊礼悠記候補。(撮影/渡瀬夏彦)

同様の大問題に浦添市民のみならず、多くの沖縄県民が直面している。普天間基地返還、北部訓練場過半返還と同様の、SACO(日米特別行動委員会)合意の弊害と言うべき「那覇軍港(那覇港湾施設)返還に名を借りた浦添新軍港建設」である。那覇市長時代・県知事時代を通じて翁長氏は、日米合意に基づくこの計画を基本的に容認してきた。後継者である玉城デニー知事も、城間幹子那覇市長も、その路線を継承している。

「浦添新軍港」の話はそもそもは1960年代の米軍の計画に遡ることができ、70年代の日米合意に明記され、さらに90年代のSACO合意にも組み込まれた経緯がある。「那覇からの移設」を受け入れた浦添市には米軍再編交付金が投下された過去がある。

だがこれは、辺野古新基地同様の「新軍港建設」であり、「米軍基地は沖縄の経済にとって最大の阻害要因」という認識を共有するはずの「オール沖縄」勢力が一致団結して、計画の抜本的見直しを日米政府に迫るべき話なのである。

ところが2014年の翁長知事誕生以来およそ6年間、そうはなってこなかった。いつしか「那覇軍港返還に名を借りた浦添新軍港建設」の問題は、「オール沖縄」の内部でもタブー視され、既定路線として容認するほかないかのような、議論の対象外と言わざるを得ないような、悲しい状況に陥っていた。

その背景に「この地域での民港開発設計と日米合意の軍港計画がセットにされてきたことの難しさがある」と筆者に教えてくれたのは、軍港建設反対の伊礼悠記候補を応援する意思を示している、「オール沖縄」の一翼を担う県内保守政治家の一人である。

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